国のために立ち向かった医師と看護婦 - 感染列島の感想

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感染列島

4.504.50
映像
5.00
脚本
4.50
キャスト
4.50
音楽
4.50
演出
4.75
感想数
2
観た人
2

国のために立ち向かった医師と看護婦

4.04.0
映像
5.0
脚本
4.0
キャスト
4.0
音楽
4.0
演出
4.5

目次

鮮明に描かれた感染列島の姿

感染ときいた瞬間、恐ろしい気持ちになります。何か悪い病気のことかなと考えてしまいます。現代では、インフルエンザなどに感染することは珍しくないでしょう。多くの人が高熱を出したという経験があるでしょう。しかしこの作品は、私が考えている以上に恐ろしいく、感染の速さにびっくりしてしまいました。あんなに速く感染していくのでしょうか。元々の原因は日本ではなく外国にいた日本人医師が感染していることを知らずに日本に来てしまうという展開です。まさか自分が感染しているとは思わなかったのでしょう。しかし、作品を見ていると明らかにその日本人医師は、自分が感染していることに気付いていたように感じます。感染していたら大変なことだと医師は分かっているはずです。しかし、日本にいる娘と娘の婚約者に会ってしまいます。彼の行動は本当に医者なのかと疑ってしまうくらい甘い行動であったと思います。彼が感染を広めてしまうのです。医者である彼によって恐れていたことが起きてしまうのでした。

日本は、少しづつざわつき始めます。マスクをした人が街中を歩いているシーンは、まるで日本ではないみたいです。みんな家族や恋人同士で一緒に過ごし、スーパーでは、食料の取り合いが起き大変なことになっていました。こんな場面は日本でまだ見たことはありません。かなり恐ろしいシーンでした。一体ここはどこなのか、日本ではないようなシーンが沢山あり、不安な気持ちになってきました。

感染が広まり、次から次に命が消えていく恐ろしさを身を持って感じました。原因だろうとされた鶏をを育てていた男性は、日本中から責められ続け、娘を残し自殺してしまいます。その直後、男性の鶏には何も原因がなかったという事実が分かります。もう少し早く分かっていれば、この男性は命を捨てる事もなかったでしょう。確実な証拠があったわけではないのに、彼を責めていた日本人は、彼と娘に謝るべきだと思いました。謝ったとしても許されないと分かっていますが、この親子の気持ちを考えると胸が苦しくなります。鶏インフルエンザではなかったという事実に、外国からは”未知の感染病”とされ注目されました。

交通機関も作動しなくなるまで社会が崩れ始める場面は、怖い、恐ろしいという言葉しか浮かびませんでした。徐々に、医療機関にも問題が起きます。医者や看護婦達にも限界がくるのです。喧嘩も増えてしまい、医者が医者ではなくなっていくようで怖かったです。医者がいなくなっては処置できる人がいなくなるということを意味し、更になくなっていく命が増えるでしょう。

救いたいけど救うことの出来ない自分の無力さ

何故このような状況になってしまったのでしょうか。原因を突き詰めるために、医師たちは外国へと向かいました。原因が分かったときは、私は安心感と共にこれからどうしたら良いのかと辛くて涙が出てしまいました。日本の姿がどんどん変わっていき、見ていられないほどでした。ただゴミが散らばり静まりかえっています。そんな映像は、恐ろしく孤独で、街の破壊感がひどく、見ているのがとても辛くなりました。こんな事になったら自分の、家族を守ることが出来るのか、そんな力は、自分にはないだろうと自分の無力さにも悲しくなってきました。どうしても助けたくても助けることが出来ない悲しみは、とても辛く自分自身を追い込んでいってしまいます。改めて医師の、”助けたいけど助けられない辛さ”を理解できたような気持ちになりました。

命を救う使命を最期までつとめた医師や看護婦の姿

ウィルスの原因がエビにあると分かりますが、分かった頃には多くの命が消えていました、医師の松岡は、外国へ行き原因を突き止めていきます。見ている自分も早く原因を見つけて、治して欲しいと心から思いました。また小さな子供が松岡に銃を向けるシーンは、子供が必死に自分の命を守ろうとしているのだと分かりました。とても悲しいことが起こっていると感じました。

日本都市には埋葬する場所がない程感染が広まります。自分が感染してしまうかもしれないという恐怖に怯えながら生活するのはどれだけ苦しいことか、まして感染者と1番近い存在の病院関係者はどんな気持ちでいるのだろう。助けを求めている人達を必死になって助けるというその仕事に感動しました。小林という医師はついに感染してしまいます。しかし、彼女は感染した後も医者として働きます。

看護婦として必死に働いていた1人の女性も、幼い子供を残して亡くなります。子供は母親からのメールの返事を待ち続けます。文章をうち、送信ボタンを押す前に亡くなってしまった看護婦の代わりに、松岡は、送信ボタンをそっと押すのです。医師の松岡が、幼い子供と旦那に出来る精一杯のことでした。非常に辛い現実と戦っている人々をみると感染した人もしていない人も大変苦しんでいることが分かります。未知のウィルスが日本を襲ったら、私達はどうなってしまうのかがこの作品をみて分かりました。恐ろしい事が次々と起こるのだと、そして医者や看護婦の有り難さを知りました。人のために生きることは素敵な事です。自分を危険にさらしてまで最後まで戦った小林は、血の涙を流して静かに亡くなりました。彼女は最初キツイ印象でしたが、本当は頑張り屋で何事にも一生懸命でつい真顔になってしまうのです。そんな彼女の強さを松岡は昔から知っていました。彼女が亡くなった後も、松岡は彼女の意思をついで医師としての役割を果たそうと戦い続けるのです。

ウィルスが落ち着いた後も彼は医者としての役目を果たします。小林の死を決して無駄にはしたくないという気持ちが表れていました。医師、看護婦は、これからもそういう存在であり続けるのでしょう。病気がある限り医者は存在し、看護婦はそれを支え、一つでも多くの命を救おうと努力し現在もこれからも力を尽くしていくのです。大事な命を守るために、今も病気と戦っている多くの医師と看護婦に感謝の気持ちが溢れてきました。

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5.05.0
  • 月読三葉月読三葉
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