その航海、まさに大渡海! - 舟を編むの感想

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舟を編む

3.753.75
映像
3.50
脚本
4.25
キャスト
4.50
音楽
3.50
演出
4.75
感想数
2
観た人
2

その航海、まさに大渡海!

3.53.5
映像
3.0
脚本
3.5
キャスト
4.0
音楽
3.5
演出
4.5

「認めたくないものだな。自分自身の若さ故の過ちというものを」

『機動戦士ガンダム』で若くして少佐となった天才シャア・アズナブルが部下をコントロールしきれずに失敗した際に呟いた有名な台詞です。

若さを武器にエネルギッシュに押し切ってしまう監督もいます。

それはそれで魅力的ではありますが、短命になる可能性も高いでしょう。

フレッシュで新しい感覚を持ち込む監督も重宝されるでしょう。

しかしこれもよほど確立されなければ短命になる可能性も高いでしょう。

弱冠29歳の石井裕也監督が製作した『舟を編む』からは、そういった若さが微塵と感じられません。

原作の作風との相乗効果もあり、若さからはかけ離れた熟練を感じさせるものでした。

なぜか「石井」という姓を持つ監督さんは絶えず現れて新風を持ち込んでくるイメージがあります。

しかし石井裕也監督は新風を巻き起こすようなタイプではありません。

それでも実は石井裕也こそが真打ちなんじゃないかとすら感じさせられました。

見方によっては面白味に欠けるのかもしれませんが、彼だけは天才タイプより秀才タイプに思えるので圧倒的な安心感があるわけです。

まず辞書作りにかかる15年もの長い歳月の途中12年を丸ごと端折って作り出しと完成時に焦点を絞ってしまったセンスが素晴らしい。

辞書作りがいかに単調な作業の繰り返しであったかを「12年後、」の一言で片付けてしまったわけですから。。

原作は読んでいませんが、結婚式やら葬式やらあったのではないですかね。

そんな石井裕也監督が「運命共同体」と言い切ったのが主演の松田龍平。

彼を語らずにこの作品は語れないでしょう!

それもそのはず。 私には松田龍平が、あの偉大なる父・松田優作の面影とも重なったように見えたのです。

それは松田優作がアクションスターからの脱皮を求めた『陽炎座』。

そこで表現された戸惑い、揺らぎ、… そしてなおもまだ、龍平が父の背中を追い続けるのであれば、その先には『家族ゲーム』があるのかもしれません。


その航海、まさに大渡海。

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他のレビュアーの感想・評価

大渡海の完成から描かれた人間物語り。

言葉の意味について考えさせられる作品です。辞書を作るのに28年もかかる?辞書を作る作業から、人と関わりたいというところまで繋がります。辞書のことを舟と例えるところが非常に面白く分かりやすいと思いました。舟に乗って人への繋がりをつくるのです。辞書を作る作業に配属された男性まじめが、言葉について考え始めます。沢山辞書を買ってきた際に、渡海の辞書を作るんだといいます。私にはこの言葉に興味を持ちました。渡海の辞書とは何なのだろう?舟を海に渡らせて、人と人を結び、繋げていくということだそうです。そんな人間関係も描かれている作品です。一から辞書を作る大変さも知りました。辞書わわ作るのに28年もかかったという話を聞いて、辞書作りの偉大さに心が惹かれました。28年もかかっていたら、周りの環境は変わっているだろうし、偉大な仕事です。普段使っている辞書も人々が苦労して作ったものなんだなと感心してしまいました。1...この感想を読む

4.04.0
  • りかりか
  • 90view
  • 2100文字
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