死びとの恋わずらいのあらすじ・作品解説
その田舎町で評判の恋占い”辻占”を発端に、女子高生が次々と謎の死を遂げるという、「うめく排水管」「富江」などのホラー漫画家伊藤潤二の同名漫画の映画化作品で、2000年に公開された日本のホラー映画。有名ミュージシャンのMTV監督として知られる渋谷和行の初監督作品で、脚本は「難波金融伝 ミナミの帝王」シリーズで知られる友松直之。エンディング・テーマはAdyaの「海のしずく~ALL of me~」。 母と共に故郷の田舎町に戻ったみどりは、転校先のクラスで幼なじみの龍介と再会し、互いに惹かれあう。が、その町に戻って以来、血色に染まる夕暮れの不気味なお堂に黒ずくめの人影が立つと言う悪夢にうなされるようになる。一方、学校では恋占いの一種”辻占(つじうら)”が流行、それが元で自殺者が出始め…。 みどりを後藤理沙、龍介を松田龍平、みどりの母和子を秋吉久美子、みどりの同級生鈴枝を三輪明日美、光太郎を高橋慎二、珠代を猪俣ユキ、榎本はるかを三輪ひとみが演じている。他に松田一沙、麻見奈央、羽仁俊太郎など。
死びとの恋わずらいの評価
死びとの恋わずらいの感想
幻想世界の映画
原作は伊藤潤二の同名小説だが、内容は映画化するには少々無理があるため、改変されている。しかし、その改変をしてもなお、『死びとの恋わずらい』本来の魅力は失われていない。監督は多くのミュージシャンのプロモーションビデオを手がけた渋谷和行だが、魅せることにこだわるミュージックビデオを手がけているだけあって、印象的なシーンやカメラワークが多い。被写体である俳優たちの魅力を存分に映し出しながら、切ないラブストーリーを楽しむことができる。配役も原作のイメージに近く、若い松田龍平の妖しい魅力が光っている。淡々とした内容なので、物足りないと感じる人もいるかもしれないが、幻想小説の世界を知っている人間には十分満足できるだろう。ホラー映画に属するのだが、よくあるホラーなシーンは全く無く、幻想映画とでも言うべきもので、物憂げな雨の降る午後にぴったりな映画だ。