命の尊さを本気で考えた作品
自然の恐ろしさを十分過ぎるくらい知る事となった作品
”タイタニック”を見たのはいつ頃だったか良く覚えていませんが、いつ見たかとかではなくて、ストーリーや映像が頭に残っていてあの迫力があるシーンもずっと忘れられません。個人的なことですが昔から船が大嫌いでした。泳ぎも得意ではないし、もし船の事故にでもあったら、すぐに溺れてしまいます。そんな思いがあったからか、この作品中の映像が恐ろしすぎて見ることすらためらいました。タイタニック号が大きな岩にぶつかり人間がまるで米粒のように小さくて、蟻のようにジタバタ暴れても全く動じない大きくて恐ろしい海。現代も自然には勝てない時があります。地震、津波、噴火などです。目の前に広がる海は、自然のいたずらによって人間ではどうにもならないことが起こるのです。それは誰も予測出来ずに急に起こります。悲劇に立ち向かいいくら頑張っても人間の力には限界があります。その危険を知った上で皆船に乗ります。まさか自分には起こらないだろうと思い込んで、現実を真っ直ぐみません。もし本当に船が嫌いで、船が揺れて落ちてしまったらと考えて絶対に船ななは乗りません。少しの心の隙間があると事故に遭遇する確率が乗らない人よりも増えてしまうのです。私は絶対に船にだけは乗りません。
その日に終わった悲しい恋
タイタニック号で出会った男女が、恋に落ちますが、その恋はその日のうちに始まり終わります。階級の違う男女がお互いに惹かれ合います。恋が始まるのかなというところまでは、ドキドキしたり、幸せそうな2人を笑顔で見る事が出来ました。2人は階級が違ってもとても相性が合っていて、素敵なカップルに見えました。ごく普通の大人の恋愛映画でも見ているかのようで、青く広がった海も、そこから吹く風も全てが2人の出会いを見守っているかのように感じました。2人で部屋の中で裸の絵をデッサンするシーンは、何とも言えないほどの大人の魅力に溢れ、お互いの心臓の音がこちらに聞こえてくるようでした。とてもドキドキしました。2人でダンスをしたり、お酒を飲んだり楽しい時間を過ごしている中で自然のいたずらが少しづつ迫っていたかと思うとなんて残酷なことになるのだろうと思いました。
タイタニック号が自然の力に負けた瞬間、沢山の命が海に投げ出されたという悲劇
船が揺れて大きな岩にぶつかりました。あの瞬間から2人の運命は逆回転し始めます。悲しいことに、タイタニック号には多くの人々が乗っていたので、数え切れないくらいの命が次々と消えていきました。船が大きく傾いた際に、人が次々と海に投げ出されていくシーンは、見ているのも辛く、目を閉じていました。でも閉じた目の先から、叫び声が聞こえては、消えて、聞こえてはまた消える、の繰り返しでした。それはタイタニック号に乗っていた人々が1人づつ叫び海に落ちて、叫び声も聞こえなくなりました。そんなことが繰り返されました。情景が自然と頭に浮かんできました。ひどく恐ろしい景色でした。人間が小さなネズミで、大きな猫に飛ばされたように酷い光景でした。例え泳ぎが得意な人がいたとしてもあの迫力には勝てないだろうと思います。海に落ちた後、全力で泳いでも、真冬で冷たい海は地獄をみているかのような気持ちにさせました。きっと物凄く冷たくて凍ってしまうくらいで、段々体の感覚もなくなってきてしまいます。せめて季節だけでも違うならと私は思いましたが、季節が夏だとしても海に落ちてしまえば恐怖は同じです。海や自然のことはいつ何が起こるか分からないので、本当に怖いと思います。小さな子供から老婦人、関係なく次々と海に落ちる姿は、人間を見ているなんて信じられない程無惨でした。
助かった命と助からなかった命
この作品を見終えた後、命の尊さを強く感じました。1秒前には笑いながらワインを飲んでいた人、走り回っていた小さな子供達、さっきまで愛しあっていたカップルが次の瞬間、離れ離れとなるのです。なぜこのようなショックなことが起きてしまうのでしょう。自然の力は怖いとつくづく思いました。あの瞬間にこの船に乗らなければ、、とみんなが感じたでしょう。もしかしたらそんな事さえ考える暇もなく亡くなってしまったかもしれません。この状況を受け止める暇も無く命が消えていくのです。恐ろしく悲しくあっという間の別れです。この作品の最後に分かりますが、タイタニック号で恋に落ちた女性はあの時なんとか生き延びていたのです。1人残された気持ちはどんなものでしょう。悲しくつらく何とも言えないだろうと思います。助かった彼女は、年を重ねてお婆さんになりました。長生きしていることに感謝していることでしょう。あの時に失われた沢山の命と引き換えに彼女は長生きすることが出来ました。素直に喜べない気持ちもきっとあるでしょう。あの日多くの命が失われました。その事を決して忘れることなく彼の事も忘れず自分の人生を歩んで欲しいです。
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