レインマンのあらすじ・作品解説
レインマンは、1988年に制作・公開されたアメリカ映画で、自閉症の兄と自分本位に生きてきた弟との交流から人生や兄弟愛を描いた、感動のヒューマンドラマである。主演のダスティン・ホフマンは、自閉症の役柄の見事な演技で、アカデミー賞主演男優賞を獲得するなど高い評価を得た。 中古車ディーラーをしているチャーリーは、子供の頃から憎み合い疎遠になっていた父親が急逝したとの訃報を受け、恋人スザンナと共に葬儀のため帰郷する。実のところ、経営難にあるチャーリーは、父親の遺産目当てで戻っただけなのだが、300万ドルの遺産は匿名の受益者に渡ると知る。その受益者を突き止めると、施設にいる自閉症の男であり、その男は実の兄レイモンドだと判り、施設から連れ出してしまう。特殊な能力を持つがコミュニケーションできない兄との交流を通して、幼い頃のある記憶が蘇り、チャーリーの心に変化を起こすのだが。 1988年アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞で作品賞、1989年ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した。
レインマンの評価
レインマンの感想
徐々に目覚める兄弟愛
遺産目的だった主人公金銭的に困難な状況に追い込まれていた為、物語冒頭から主人公チャーリーに良いイメージを持つことができませんでした。しかし、それは振り返って考えてみると、制作側の意図的なものだったと考えることができます。物語冒頭から、良い材料がひとつも揃っていません。むしろ、悪い面を全て吐き出しているかのように感じられるのです。自分勝手に兄レイモンドの元を訪ね、施設から連れ出す行動にも、一般的な感覚からは理解を超えています。物語冒頭から、主人公であるチャーリーは悪役なのです。これは物語を描く手法として、悪役として、落とすところまで落としておき、後に、観客の株を上げていく作戦が取られているだと考えられます。とことん悪く描くことで、人間性が良くなった場面を描けば、チャーリーの印象は物語最後には良くなってしまうのだと考えられるのです。そういった意味では、非常にズルい作り方をされた物語だと考え...この感想を読む
豪華なキャスト
とにかくキャストが良かった。トムクルーズとダスティンホフマンが演じた兄弟がなんとも愛おしく思えるくらいのめり込んだ。設定もなかなか面白い。チャーリーはしばらく会っていなかったサヴァン症候群の兄レイモンドに、父の遺産が大半入ってくることを聞き、お金目当てで近付く。最初はなんだこの最低な弟は!と憤ってしまったのだが、だんだんとレイモンドに惹きつけられ、そしてチャーリーの心はあたたかいものに変化していく過程が観ていて涙を誘った。チャーリーの根の優しさや、レイモンドの純真無垢さがこのストーリーに厚みを持たせている点だと思う。なぜチャーリーはレイモンドを見捨てられず、面倒を見るようになったのか、それはただ単に兄弟だから、というだけではなく、幼少期の「レインマン」、つまりレイモンドとのあたたかい思い出にあったように思う。そし自分のせいで病院に入院することになってしまったレイモンドに対する罪悪感がず...この感想を読む
アカデミー賞映画
アカデミー作品賞、監督賞、主演男優賞を受賞した名作です。サヴァン症候群のレイモンドを演じたダスティン・ホフマンの演技が素晴らしいです。親の遺産目当てのクズな弟チャーリー役のトム・クルーズもとてもいい味を出していました。でも旅をしながら、兄と弟がだんだん仲良くなっていく様子はとても微笑ましかったです。道中、レイモンドが下着を買うのにKマートじゃないといやだとごね、チャーリーが「どこで買っても一緒だ!」と甲高い声でヒステリーを起こすシーンはいつ観ても笑ってしまいます。トム・クルーズの声って、顔に似合わず高くて、怒った演技だとコミカルに感じます。人にも1度は観てとお勧めしたい、大好きな映画です。