理由
この作品は登場人物が何故その言葉を発したのか、どうしてその様な行動にでたのが、ハッキリとした理由がわからない。また登場人物が多いので、読者は誰かに感情輸入をしながら読み進められると思う。ハッキリとさせず、のめり込ませてくれる本だと思う。
私は始め、小糸貴子に気持ちがはいっていたが次第に小糸静子の気持ちになっていた。結局の所お互いの意見の食い違いはどちらが、嘘をついているのか、思い込みなのかわからないが、世の中にはよくある食い違いである事は間違いない。
綾子の身勝手さ…ハツエの人生とは…里子の想い…私は色々と考えさせられたが、あなたは誰に共感するのだろうか?
話が色々と飛んでいくので、何度も読み直しながら読んでいたが、ノンフィクションなのか?フィクションなのか?と思わせる程現実的で、引き込まれていくので、読み直す事が楽しかった。
私は今までは、登場人物が多く短編をつなぎ合わせたような本は嫌いで途中で読まなくなる事も多かった。何故ならもっと登場人物の色をハッキリとさせ想像を膨らませたかったからである。だが、この本は短い言葉で読者自身が登場人物の色をつけられ、繋がる筈のない形でつながっていくので先を読みたく一気に読み上げてしまった。
この内容を長作にすることもできたであろうが、1冊にまとめ内容を薄くしないという所で私は高評価したい。
これ以上の作品と出会いたいので、5点はつけない。
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