初ものがたりのあらすじ・作品解説
この作品は女流作家・宮部みゆきの時代ミステリー作品である。 1995年PHP出版社より出版されたものであり、その後1997年にPHP文庫で、1999年に新潮文庫にて文庫版が発売された。また2013年には未刊行の2編を収録した『<完本>初ものがたり』も出版されている。 この作品では鰹、白魚、桜など「初もの」に絡んだ難事件を岡っ引きの茂七が子分たちとともに解決していく様が描かれている。またメインキャラクター以外にも一癖も二癖もある脇役たちも登場する人情と季節感にあふれた作品である。 またこの作品は、茂七が登場する他の作品と共に『茂七の事件簿ふしぎ草紙』としてNHK綜合テレビの『金曜時代劇』枠でドラマ化している。 主演は高橋英樹さんで、2001年から2003年にかけて第3シリーズまでが放送された。 第1シリーズは全10話、第2シリーズは全5話、第3シリーズもまた全5話であり、その後2004年にはシリーズの中で特に好評だった作品をまとめた『茂七の事件簿セレクション』も放送された。
初ものがたりの評価
初ものがたりの感想
テンポのいい物語に引き込まれます
時代物で初もの繋がりの短編集です。「お勢殺し」、「白魚の目」、「鰹千両」、「太郎柿次郎柿」、「凍る月」、「遺恨の桜」、6編が収録されています。岡っ引きの茂七親分が主人公!ぼんくらシリーズのおでこに昔の事件を教えているあの親分。繋がりを発見して嬉しくなってしましました!!人間らしい感情が渦巻き、人間だからこそ誰の心にも隠れているであろうずるさ、弱さが引き起こす事件。岡っ引き茂七の揺るぎない安心感。人情味あふれる推理眼にほれます。それから、とにかく食べ物が美味しそう。稲荷寿司屋の正体もとっても気になります・・稲荷寿司食べたいです。
大親分の若かりし頃の話。
最近はまっている宮部みゆきさんの時代物小説ということでどういう内容かを確認せずに、とりあえず手に取ってみた。やっぱり読んで正解だと思った。というのも、「ぼんくら」などで時代物の語り口にも慣れてきてすっかり、この世界に溶け込んで登場人物たちに魅入られている私としてはあの大親分の若かりし頃の事件簿が読めるというのはとても嬉しいことでした。といっても、「茂七」って、どこかで聞いた名前だなぁくらいの認識で、ちゃんと気づいたのは3分の1くらいを読んだところですが・・・。でも、大親分の事件を見ていると政五郎さんの今と重なって見えたりする姿があって面白かったです。