大きな力との孤独ではない戦い
主人公・青柳雅春は首相暗殺の嫌疑をかけられ、逃亡を強いられることに、というのがこの小説の簡単な(簡単過ぎる)あらすじだが、ここが伊坂幸太郎作品だなぁと思わずうなってしまうのが、逃亡しながら、青柳雅春が自分のこれまで築いてきた信頼できる人間関係を駆使していくところだ。つまり、青柳雅春が本当に“いいひと”で、周りの人たちはそれが分かっているから、それぞれが青柳雅春を助けるために動くことになる。そういう人と人とのつながりを強く感じさせてくれるところが、ハードながらもあたたかい話だなぁ、と思う。 ネタバレ。これ、普通に読んでいて気付いた方どれくらいいらっしゃるんだろう? 第三部、事件から二十年後、これ書いたのは、青柳雅春本人だ! 読み直していてそれに気付いたときは本当に興奮した(笑)。ヒントはある。 二十年経って、自分なりに事件のことを調べたんだなぁ、ちゃんと人としての生活を送っているんだなぁ、というのが、感慨深い。
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