「恋」という言葉から一般的にイメージされる「純粋な気持ち」なんて、中学生の恋愛にぐらいしか存在しないもん。「純粋な気持ち」の実態って、つまりは「思いこみ」だし。
遠山あかり
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もっと早くその才能に気づきたかった時すでに遅し。後悔先に立たず。ただ過ぎに過ぎるもの、帆をかけたる舟、人の齢、春、夏、秋、冬。とはよくいったものだ。何が言いたいかというと、筆者は後悔しているのである。なぜこんなに気づくのが遅かったのか。あれだけ少女漫画好きを公言している三浦しをんがロマンス小説を書けない訳がないじゃないか! と。それほど、私は三浦しをんが作中に創作した“ロマンス小説”に驚き、心惹かれているのだ。はっきりいって本編よりずっと良かった。主人公たちの恋愛を差し置いて知り合いのストーカー問題に首を突っ込んでいる本編より百倍ぐらい面白かった。題名の明かされていない“ロマンス小説”は、主人公・あかりの手によって大幅に改編されている。あかりいわく、“予想できる”ハッピーエンドから、ヒーローであるウォリックの死、アリエノールの不貞、シャンドスとの別れ、という切ない恋物語に改編された一連...この感想を読む
物語を書き換える今回は、三浦しをん著『ロマンス小説の七日間』(角川文庫)について考察する。この小説は主人公あかりが仕事で翻訳する英国中世騎士道ロマンス小説の物語と、主人公の生活する現実世界での出来事と平行して展開する。そしてあろうことか、あかりはこの内容に対し、「なんじゃこりゃ」とばかりに手を加え、書き換えてしまう。あまりにもその内容がファンタジーで続きが想像できてしまうからだ。今回はこの点に注目し、ロマンスと作中の現実世界の対比を通して見える現代の結婚観について考えたい。一緒にいることと結婚は別物まず、主人公のあかりはフリーランスでの翻訳業を生業として自身で生計を立てている。交際している神名(かんな)は、企業で営業職についていたものの、ある日突然、仕事を辞めて旅に出ると言い出してしまう、かなり自由な男性だ。そこで、注目したいのが、神名が旅にでる、という時にあかりの選択肢として元々神名...この感想を読む
遠山あかり
打算で恋愛をしていた自分を責めたが、恋なんてもとから打算の塊だと気づいたあかりが思うこと
遠山あかり
恋人の神名とケンカしてしまったあかりは、ロマンス小説のなかの恋愛とくらべて現実の恋愛は単純ではないと実感する。
遠山あかり
真剣にやっていた野球を諦めて会社員をやってきたけれど、なんか違うと思って会社をやめ放浪の旅にでようとする恋人への思い