夢の守り人のあらすじ・作品解説
夢の守り人は、2000年5月に偕成社から刊行された上橋菜穂子による人気ファンタジー大河小説「守り人」シリーズの第3巻である。 人と精霊が混在する世界を舞台に、人の夢を糧とする異界の‘花’に囚われた新ヨゴ皇国の皇子チャグムと、幼馴染のタンダを救うべく命をかける短槍使いの女用心棒バルサを中心に、壮大な物語が繰り広げられる。 「精霊の守り人」から始まる守り人シリーズは、本作と「闇の守り人」「虚空の旅人」「神の守り人来訪編」「神の守り人帰還編」「蒼路の旅人」「天と地の守り人第一部ロタ王国編」「天と地の守り人第二部カンバル王国編」「天と地の守り人第三部新ヨゴ皇国編」の全10巻と短編集「流れ行く者」「炎路を行く者」で構成される一大巨編であり、漫画化やアニメ化、アメリカをはじめとする各国で翻訳刊行されるなど、世界中で人気の高い作品である。発刊ごとに路傍の石文学賞をはじめとする数々の賞を受賞するなど、国内外でも高く評価されたシリーズ作品である。
夢の守り人の評価
夢の守り人の感想
バルサとタンダの心の絆の強さを実感
故郷を旅して戻ってきたバルサは、不思議な能力を秘めた歌い手ユグノと出会います。その頃、タンダは姪っ子が夢の世界に魂を飛ばし、眠り続けるという状態に陥っているのを助けてくれるよう、頼まれます。さらに、タンダの師匠、大呪術師トロガイは、今は皇太子となったチャグムや一の妃までも覚めない眠りに陥っていることを聞かされます。そして、ユグノとトロガイが出会った時、すべてのものがつながるのです。しかし、タンダは姪を助けようと、夢の世界に魂を飛ばし、そこの住人に体を乗っ取られてしまいます。ユグノの命を執拗に狙うタンダの体に巣食う者。バルサは、タンダを救おうと、どれほど怪我を負っても、致命傷を与えようとはしません。一方、タンダも、体の限界から夢の世界の中で意識を失いかけた時、バルサの必死の叫びを聞きとり、懸命に生きようと気力を奮い立たせます。そんな2人の絆の強さは、愛だの恋だの言った甘ったるい言葉を超え...この感想を読む
精霊の守り人シリーズ
精霊の守り人シリーズの3作目です。精霊の守り人の続編といったことでしょうか。舞台は新ヨゴ王国に戻ります。主人公はトロガイとタンダといって良いと思います。夢にとらわれて鬼と化したタンダを助けるために動き出すバルサ。自分の過去と向き合うことになるトロガイ。花に誘われて眠りについていく人々。独特の世界観が非常に緻密に構成されていて、すんなりと物語に入っていけると思います。私は大人になってからこの本に出合いましたが、小学校高学年くらいの学力があれば、十分に読み解く事が出来ると思います。大人だけでなく、ぜひ子供たちにも読んでほしいと思います。想像力を広げて楽しんでください。
舞台は再び新ヨゴ皇国へ
今回の物語の主役は大呪術師トロガイとその弟子であるタンダといっていいでしょう。二人はもともと普通の村で暮らしをしていたが、この世とも言えるサグだけではなくもう一つの世界であるナユグに関わっていくことでそれまでの生活を捨てた人たちです。この物語はそんな二人の過去や活躍が描かれ、より守り人シリーズの世界観に深みを与えてくれます。また前の巻では出番のなかったチャグムも登場し、少し成長した姿を見せてくれます。子どもらしさはまだ残っていますが、帝を相手に一歩も引かない強さも身につけたチャグムの成長が今後も楽しみです。次の巻では南のサンガル王国へチャグムとシュガが行くことになるようなので二人が主役となるのでしょうかね。