大江戸妖怪かわら版のあらすじ・作品解説
大江戸妖怪かわら版は香月日輪が執筆した児童文学作品である。 2011年に講談社から文庫版が発売され、後の2013年には高橋愛氏の作画で漫画版も発売されている。 現実世界と異世界の間で繰り広げられる物語で、人間、妖怪、魔人が入り乱れた世界観で描かれている。 物語の主人公は現実世界で暮らしていた雀という少年で、異世界である「大江戸」に落ち、「大江戸」で生活を行っている。彼の「大江戸」での日常と成長の日々が物語の中心となっている。現実世界ですさんだ生活を送っていた少年の雀は大首かわら版屋と呼ばれるかわら版屋で働く事となる。周囲のあたたかさもあり、一生懸命仕事に取組み、後には人気の記事を手掛ける様になる。 同じかわら版屋には妖怪が働いており、のっぺらぼうのキュー太や猫妖怪のボーなどがいる。彼らとは公私ともに行動をするようになる。 なお、物語の舞台である「大江戸」は実際の江戸時代の文化や風俗を模しており、作中にも江戸時代独特の描写が多用されている。
大江戸妖怪かわら版の評価
大江戸妖怪かわら版の感想
妖怪たちが江戸に住む?!
人間界の江戸時代のパラレルワールドは、妖怪だらけの江戸時代の世界だった!お城や遊郭など江戸時代そのものなのに主人公の「雀」以外は、みんな妖怪で、でも普通に生活しています。火事が起こったりして、火消しが活躍するのも人間と同じ。でも、そこは妖怪。消し方が半端じゃない。面白い。人間、いえ妖怪描写が面白くて、物語自体も長くないのでスイスイ読めます。人間である雀が、この異界に落ちてきてどのようにしてかわら版屋の記者になったのか。そのあたりは、まだ謎なのですがこの異界で一生懸命に生きる姿が微笑ましく、思わず応援してしまいます。見え隠れする雀の悲しい過去など暗い部分もあるけれど、それでも楽しく読ませてくれるのは香月さんならではの語り口だと思います。