最後の将軍 徳川慶喜のあらすじ・作品解説
最後の将軍徳川慶喜は、数々の歴史小説を世に送り出した、司馬遼太郎の長編歴史時代小説である。この話のあらすじは、かつてその権勢を誇った徳川幕府の最後の将軍となった、江戸幕府第十五代将軍の徳川慶喜の生い立ちと、彼の生涯を描いた作品である。 この作品中では、徳川幕府始まって以来の類まれなる英明と讃えられながらも、戊辰戦争での逆賊としての汚名を受ける事を甘んぜず、薩長への恭順の道を選ぶ、慶喜公の数奇な人生が見どころである。また水戸藩主である徳川斉昭を父、天皇家有栖川宮家の吉子女王を母に持ち、水戸史観に影響されながらも、作中では慶喜公を行動と感情が分かれた、不可解な人物として描かれている。 この小説作品は、1966年6月と9月、そして12月の別冊文藝春秋の96号から98号まで連載され、翌年の1997年に初版の単行本が発行された。1997年には改訂版が発行され、重判している。 この時代小説は、1998年のNHK大河ドラマ徳川慶喜の原作となった作品である。
最後の将軍 徳川慶喜の評価
最後の将軍 徳川慶喜の感想
徳川慶喜の人物像
江戸幕府15代将軍、ラストエンペラーである徳川慶喜の物語です。徳川慶喜と言えば鳥羽伏見の戦いで敵前逃亡した卑怯で臆病な将軍というイメージが強かったのですが、この作品を読むとそんなに単純な感情だけで行動していたわけではないのだなということを感じました。結果だけが語られる教科書とは違い、この瞬間の慶喜の気持や細かな感情の描写に興味をそそられました。実際、慶喜の能力を考えると最後の最後まで新政府軍に徹底抗戦できたような気もしますし、それをした場合の戦禍の拡大は想像を絶するようなものになっていたかもしれないと思うと、やれるのにやらずに耐えるというのもひょっとして悔しかったのではないかなと思うようになりました。また15代も続いた徳川幕府を自分の代で終わらせる勇気と苦労は幕府を樹立させるよりも相当大変なことなのだと感じました。新政府軍が勝利したことにより、幕末の英雄と呼ばれる人達はどうしても新政府...この感想を読む
最後の将軍―徳川慶喜
元より、歴史が好きで、NHKの大河ドラマも毎回見ている。今年は「八重の桜」が好評のうちに放送されているが、徳川慶喜にあの小泉孝太郎が演じているが、お似合いだと思う。 其れより以前に、やはりNHK大河ドラマ「徳川慶喜」が放送されていたが、司馬氏のこの本が原作となっている。滅び行く徳川幕府の最後の将軍である慶喜を、その生い立ちから亡くなるまでを描いているが、この時代ともなると徳川家にしても武士の世は既に終わっていたのであった。武士の世を起したとされる鎌倉時代では、その時代の末期はやはり十五代将軍である北条高時であったが、彼の場合は反乱軍であった新田軍の攻めにあって、一族郎党とも腹切って最後を遂げたのであった。ところが、江戸時代最後の将軍は、いみじくも敗戦となるのを予感して江戸え逃げ帰り、助命嘆願して命長らえ、余生を送っているのである。
徳川家滅亡、新しい時代に!
徳川慶喜も大した将軍でした。彼は水戸藩出身で本家ではなかったのです。本家徳川家は病気気味で表に出れる状態ではなく死去し、彼が徳川家を次ぎましたが彼が継いだ時は徳川家は崩壊寸前。倒幕軍が江戸に入る前の話でした。彼はあまりおごらない将軍で、最後まで将軍らしく振舞ったと言われています。木戸、坂本龍馬などともコミュニケーションを図っていますし、政治的な部分でも機能できていた将軍ですが最後は時代の流れに乗った倒幕軍が日本を大制奉還の道へ慶喜を誘います。この最後の将軍、かなり勢いに任せる場面が多い男でしたが、冷静な倒幕軍サイドへ軍配が上がってし待ったようです。まさに最後に将軍!