徳川慶喜の人物像
江戸幕府15代将軍、ラストエンペラーである徳川慶喜の物語です。
徳川慶喜と言えば鳥羽伏見の戦いで敵前逃亡した卑怯で臆病な将軍というイメージが強かったのですが、この作品を読むとそんなに単純な感情だけで行動していたわけではないのだなということを感じました。
結果だけが語られる教科書とは違い、この瞬間の慶喜の気持や細かな感情の描写に興味をそそられました。
実際、慶喜の能力を考えると最後の最後まで新政府軍に徹底抗戦できたような気もしますし、それをした場合の戦禍の拡大は想像を絶するようなものになっていたかもしれないと思うと、やれるのにやらずに耐えるというのもひょっとして悔しかったのではないかなと思うようになりました。
また15代も続いた徳川幕府を自分の代で終わらせる勇気と苦労は幕府を樹立させるよりも相当大変なことなのだと感じました。
新政府軍が勝利したことにより、幕末の英雄と呼ばれる人達はどうしても新政府側多くなってしまっているような気がしますが、少し視角を変え視野を広げるだけで江戸幕府側にも隠れた英雄がたくさんいるということを気づかせてくれる作品でした。
また徳川慶喜は実は長命で、明治時代を生き抜き、大正2年に亡くなったという事実も驚きでした。
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