世の中には、何かをやるやつと何かをやらないやつの2種類しかおらんのじゃ!お前はどっちじゃ!やるんか?やらんのか!?
永田忠雄
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「流星ワゴン」は直木賞作家重松清による長編小説である。月刊小説誌である「小説現代」に2001年1月号から12月号まで連載された後、単行本が発売され、発売から増刷を重ね大ベストセラー小説であり、2015年1月にはドラマ化され話題になった。 会社はリストラ寸前、子供はひきこもり、暴力を振るう。そして、浮気を重ねる妻。「もう、死んでもいい」と思っていた37歳の秋。そんな夜、ワゴンに乗った不思議な親子に出逢う。促されるままそのワゴンに乗り込む。このワゴンはいったいどこへ向かっているのか?その先でもまたも不思議な出逢いが・・・・。自分と同い歳の父と出逢った。親子でも友人でもなく「朋輩」として自分と同い歳の父と行動を共にしていくうちに、気づかなかった多く事に気づき始めていく ワゴンに乗った親子と、自分と同い歳の父。この出会いがもらたした結末とは?家族小説の新境地、2002年度の「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた作品である。
絶望しかない現実なら、ちょっと一息ついてみよう。過去を振り返って後悔しても、人生のやりなおしはきかないけど、キチンと現実と向き合い、前に進む強さが少しづつわいてくる。ラストも前向きになれる、静かで力強い作品でした。幽霊父子が運転するオデッセイに乗って、通り過ぎた人生の分岐点へドライブするという設定はファンタジーだったけれど、「あの時、あーしとけば良かった…」と誰もが持っている過去への後悔がリアルに感じられて心に染みました。さらに、父親・主人公・子ども。この三世代の関係にいつのまにか自分やの自分の家族をシンクロさせていました。私も父親に対してわだかまりもあるし、子どももまだまだ小さくて可愛いだけだけど、これから先いろいろあるんだろうな。などなど、思うところたくさんありますが、読んで本当によかったです。
最後は号泣でした。 自分探しの旅っていうんですかね。その旅にこのワゴンは連れて行ってくれるんですよね。 でも、現実にはありません。 一雄のように、自分を見つめなおしてやり直せればいいなって思うけど、実際にはそうはいかない。 だからこそ、一日一日を大事に自分に悔いのないように行動しなければいけないのだなって思いました。 でも、一雄のおかげでちょっと楽になれたっていうか、生きることはそんなに悪いもんじゃないなって、みんな苦しくて悩みながら生きているけど、ちゃんとそれを乗り越えていく力を考える知恵を持っているのだなっていうことがわかりました。 いつか、私が本当に辛い時に、流星ワゴンが来てくれたらうれしいけれど、来なくても私はちゃんと自分の足でたって一歩ずつ歩いて行こうと思います。
こんな現実なら逃げ出したくなるのが普通じゃないかなぁ、と読みはじめて思いました。不思議なワゴンで同い年の姿となった父親と共に、主人公が歩んできた人生を見直す旅に出る。この小説を一言で表すと「家族再生」でしょうか。私が印象に残ったところをいくつか挙げたいと思います。人生を見直す旅に出た後、妻が不倫した日に主人公も妻と性行為しようとしていることに気付きショックを受けるシーン。妻の不倫の理由。息子のいじめの原因になったであろう、友達が遊びに誘っているのに「勉強が忙しいから」と強い口調で断っているシーン。重松さんの作品にはリアルな家族、人間の描き方、辛い現実なのにどこか優しい、人間の強さみたいなものを感じます。父親とは?家族とは?強さとは?
よみがな:ながた ただお
永田忠雄
逆上がりを諦めかけていた孫に忠さんなりの言葉で応援をした