人生が川だとするならば、あたしたちは同じ海に向かって流れていく、二つの別々の川だ。くっつきそうにそばを流れる、でも別の川。
美代
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第15回山本周五郎賞受賞作品なのだそうです。10話からなる短編小説集です。女性達が、安全でも適切でも無い世間で、人生を泳いでいく話なのかな、と思いました。なんとなく、バブルな感じがするのは気のせいか?登場人物達に、生活感がないです。文章は読みやすいので、サラサラと読めるけれど、登場人物に共感はできませんでした。なので、今ひとつ面白くなかった…というのが本音です。「うんとお腹をすかせてきてね」の主人公が、たくさんの食べ物を美味しそうに食べるのは、良かったけれど、実際、そんなに食べたら、体型が変わらないかな…と心配になりました。羨ましい、の一言です。
何度でも読める一冊です。短編集なので、好きな作品と、好きではないもの、「えっ!?」というもの、まあまあかなというもの、色々な物語があると思いますが、読む度に感想が入れ代わりそうな、そんな一冊だと思います。読み始めると、非現実的な世界に引っ張っていってくれて、読み終わると、不思議なくらい跡形もなく消えていく、そんな一冊です。何度でも読ませてくれる、江國さんの文章力が素晴らしいです。やっぱり読書って、最高の現実逃避なので、お供がこんな一冊だと最高だと思います。題名が素敵だなぁと手に取り、読んでまた素敵だなぁと思い、何度も読みたくなる一冊です。お勧めです。
10の短編が収録されています。この作品集で山本周五郎賞を受賞していますが、受賞のうなずける、緊張感のある一冊です。特に表題作「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」「うしなう」が印象に残りました。「うしなう」の主婦たちは怖ろしいものです…。もともと江國香織は関係性を“外堀から埋める”タイプで、明言をせずに親密な関係性をー家族や恋人ーを描いてみせる作家ですが、この作品集以降、とくに「家族」「夫婦」の関係性のいっそう多様なあぷりだしにチャレンジしていると思います。主人公が自らに陶酔している、ヘンに世界を美しく見てしまっている、そういう世界観から脱却した、どちらかといえばドライで、必要以上のことを言わない、そういう文体へと変化を見せている、「ひらひら」からの脱却の一冊です。
よみがな:みよ
美代
恋人と食事をすることが好きな主人公。互いの部屋に泊まったりはせず、仕事終わりに集まっては時間をかけて食事をすることが二人の習慣だ。しかし、なかなか一緒に居られないことに対し、主人公は少し寂しく思っている。