切なく哀しく、でもそれだけでない何かを心に残す物語
天才ボノボの研究から始まるこの物語を読むまで、ボノボという類人猿がいることを知らなかった。そして彼らが高い知能を持ち、時には道具さえも使いこなすことも知らなかった。もちろんバラエティなどで「天才チンパンジー」なるものは見たことがある。でもそれは教え込まれた芸の域を超えず、すごいとは思ってもさほどの衝撃は受けなかった。この物語を読んで、ボノボのことを少しだけ調べた。野生下ではチンパンジーとは違い道具を使ったりすることは見られないらしいが、飼育下では道具を使ったり、マッチなどで火をおこし、マシュマロを焼いて食べたりしていた。言葉も1000語以上記憶し、キーボードで会話をする。このあたりはこの物語と同じである。また争いを避ける種でもあり、なにか争いなどの緊張が持ち上がったときは相手と接触(同性で)してそれを緩和するという。それは人間以外に見られない行動とされており、ボノボの知性の高さとその穏...この感想を読む
3.53.5
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