迷路に閉じ込められる短編集。
短編の良さ丁寧すぎると思った長編に比べて、短くなった作品たちは思い切り読者に寄りかかる姿勢を見せているなと思いました。最初の「春よ、こい」は読んでいてどういうことなのかさっぱりわからず、二度三度ページを行ったり来たりしながら読みました。登場人物が繰り返し同じ元に生まれてくる話で、未だに頭の中が整理できていません。むしろこのまま曖昧なままにしておくほうが作品の長所を生かすこそになりそうで、あえて分析するような読み方は避けようと思います。仲の良い女の子二人が将来娘が出来た時にお互いの名前をつける、という約束を何度も行います。生まれ変わって何処かのタイミングで交通事故に遭うのですが、その場面を悔いて現実の世界から少しかけ離れた世界へと展開します。想像上では真っ白い何もない空間で二人が身体を寄せ合い、永遠に続くよう過去を振り返ります。そして交通事故に遭わないよう工夫を凝らすのです。最近私は前世...この感想を読む
4.04.0
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