チョコレートコスモスのあらすじ・作品解説
チョコレートコスモスは恩田陸の小説。伝説的な映画プロデューサーが開く芝居のオーディションに向けて、若い二人の女性が才能をぶつけあう。 芸能一家に育った東響子は幼少の頃から舞台に立ち、これまでの数々の演技を通して評価と実績を積んできた人気女優である。そんな彼女が、伝説的な映画プロデューサー、芹澤泰次郎が主催するオーディションが開かれることを知って参加を決意する。芹澤は自分の納得がいくまで一つの作品に取り組むことで知られ、彼の作品は常に高い評価を得ていた。同じ頃、ある大学の無名の劇団に一人の少女が入団を希望していたが、この劇団には男女関係のトラブルを避けるため、女性を入団させない規則があった。劇団のリーダーは諦めさせるためにわざと困難な演技の課題を少女に与える。だが、芝居の経験が皆無のはずにも関わらず、彼女は周囲を圧倒する見事な演技を見せて入団が決まる。彼女の名前は佐々木飛鳥。尋常ではない高い演技力を持った二人、東響子と佐々木飛鳥のオーディションでの戦いが始まろうとしていた。
チョコレートコスモスの評価
チョコレートコスモスの感想
「ガラスの仮面」みたい。
2人の若き天才女優が出てくるという設定は「ガラスの仮面」のようでした。1人は実力派2世女優の東響子。もう1人は演劇経験数ヶ月の無名新人女優の佐々木飛鳥。対照的な2人だけど、芝居にのめり込んでいく様は迫力満点でした。今回は建設中の大劇場での杮落し公演のためのオーディション模様が描かれていました。続編はいよいよ本番、杮落し公演か!?響子の人間性が鮮やかに描かれているのに比べ、飛鳥は淡白で人間性も乏しく描かれており、まさに「演劇ロボット」のようで物足りませんでしたが、続編でもっと人間臭さなどがともなって、さらに魅力的な女優に成長していくのを期待しています。
ガラスの仮面好きにオススメ
あとがきに「ガラスの仮面のような作品を書いてみたかった」とあったので、思わず手に取ってしまいました。こういう演劇もの、好きなんですよね。演技を始めたばかりの無名の新人・佐々木飛鳥と、人気沸騰中の若いベテラン女優・東響子。この2人が物語の核となるキャラクターです。オーディションの話がメインなので、読んでいて緊張感が伝わってきました。飛鳥は、無自覚の演技の天才として書かれているのですが、どうにもつかみどころのないキャラでしたね。もちろん嫌いではないんですが、人間味が薄い感じはしました。続編である「ダンデライオン」が雑誌で連載中だそうなので、こちらも文庫になるのが楽しみです。