時を越え、空間を越え、男と女は何度も出会う
5つの章は全て時代が違えども、エドワードとエリザベスがお互いを思い、出会い、失ってしまうお話です。お話は章立てにはされていますが、前後する情報が次から次へと出てきたり、違う時代の断片が出てきたりして、油断できません。そして、正直に読むと頭がこんがらがっちゃいますので、一度はサラリと読んでから、章毎に読み返すのがお勧めです。お話は、いつもの恩田さんらしく最後まで読んで、やっと全ての話がカチッと一つの形をあらわすような精密な作りのお話です。4章「天球のハーモニー」に出てくるエリザベス一世は、2005年に舞台『メアリーステュアート』を観劇した際に時代背景を勉強していたのでとても面白かった。もし本当にエリザベス女王が「エリザベス」であったならば、それが故に無意識に「ヴァージン・クィーン」だったとしたら、彼女は孤独なのではなく「エドワード」と夢の中でも会えていたとしたら。なんと寂しく幸福な事でしょう...この感想を読む
4.04.0