心地の良い気色悪さ。
図書館の海よりも好き以前、恩田陸先生の短編集を読みました。「図書館の海」というタイトルで、私はミステリー小説を読み始めたばかりの頃でした。あまり感じない独特の雰囲気に戸惑い、説明不足で理解できずに雰囲気だけを楽しむに留まりました。以前はそうでした。しかし、今回の「朝日のようにさわやかに」という短編集ですが、タイトルを改めてなぞるとそれでいいの?と疑問に思うほどさわやかな内容ではありませんでした。ある意味爽やかであると主張する分には納得するのですが、なぜこのタイトルにしたのか、恩田陸先生のさわやかさがわかりません。朝日は季節によって異なるとは思いますが、よほど憂鬱でなければ、まあ気持ちの良い日差しに夜冷やされた空気を新鮮に感じることはあるでしょう。しかしこの作品たちは短い世界に濃厚に詰められた内容の中を生きています。それは真夏のうだるような暑さやしんしんと冷え込む冬など極端な雰囲気を持っ...この感想を読む
4.54.5
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