ハゲタカのあらすじ・作品解説
ハゲタカは2004年に出版された真山仁による長編小説である。ニューヨークの投資ファンド運営会社社長、鷲津政彦が日本に舞い戻り企業買収をしていく話で、『バイアウト』『レッドゾーン』『グリード』とシリーズ化されている。 この作品はバブル崩壊後の1997年から2004年の日本を舞台にしていて、バイアウト・ファンドマネージャーである鷲津政彦と芝野健夫を中心にして不良債権を抱える企業の株や債権を買い叩き企業買収をしていく様を描く。この作品に登場する企業には、それぞれモデルになった企業が存在し、出来事も実際の出来事が元になっているが作品に登場するものはあくまで架空のものであるという留意が必要である。 2007年に大森南朋主演でテレビドラマ化され、ギャラクシー賞の優秀賞をはじめ数々の賞を受賞した。2009年にはテレビドラマが国内外から高く評価されたことにより、テレビドラマとほぼ同じ出演者、スタッフによる後日談が映画化された。
ハゲタカの評価
ハゲタカの感想
バブル崩壊後の死屍累々とした日本の金融界を舞台に、"ハゲタカ"と呼ばれる外資系ファンドの活躍を描いた、真山仁の問題作「ハゲタカ」
なぜ彼らは"ハゲタカ"と呼ばれるのか。それは、潰れかけた企業を屍肉に喩えて、屍肉を漁り、奪い去り、後には何も残さない猛禽類のやり口を、豊富な資金で、財務が傷みきった日本企業を根こそぎ攫っていった、外資系金融に喩えた絶妙の表現です。つまり、外資が流入することによって、もう一度戦争に負けたような感情論が、彼らのことを“ハゲタカ”と呼ばせたのではないでしょうか。今までのぬるま湯経営から、合理的経営に変わるのですから、キツくなるのは当たり前でしょうね。真山仁の「ハゲタカ」に出てきた、栃木の足助銀行(どこだか一目瞭然です)も、地元企業に対して、随分とヌルい融資を重ねてきました。それが経営破綻した途端、債権の取り立てが厳しくなるのですから、債務者はたまりません。文句の一つも言いたくなるでしょう。だが、バブル崩壊前の日本経済にはびこった、強引な創業者一族、山のような不良債権、そして、粉飾された決算報告...この感想を読む
金融小説の鉄板
この小説を読むことでバブル期の日本がどのような状態にあったのかがわかります。これまではあまり金融系の小説は読んだことがなかったので、企業買収の用語とかはとても新鮮でした。最初は読みづらく感じるかもしれませんが、内容が頭に入ってくるようになると面白くてページを繰る手が止まりません。この小説を読むことによってニュースとかで企業買収の話が出ても以前より興味を持つようになりました。小説に出てくる企業名にはモデルが存在するのでそれを調べるのも楽しいと思います。下巻でどのように話が展開していくのか楽しみです。それにしてもお金の桁が違い過ぎて怖いですね。
投資ファンドに興味
真山仁らしい作品。時事を絡めたフィクション、いや、ノンフィクションの要素が絡まっているのか?素人には線引きと判別が難しいが、集中して読破した。Wikiで知らない語を調べながら読み進めていたので、途中知恵熱が出そうだった(笑)鷹津の冷静(冷酷というのだろうか?)さが不気味だったが、下巻になるとやや人間味が顔を覗かせるようになる。だがやはり彼は彼だった。逆にほっとしたような・・・。企業買収の攻防戦、操る人物との駆け引き、嘘やハッタリ、様々なものが渦巻くのが恐ろしい。一会社員として目の前の仕事をこなす日々が、なんだかちっぽけに感じる。世界はこうやって動いているんだと、漠然と思った。