なりたいものになるためには、きちんと生きていかなければならない
木村浅葱
理解が深まる小説レビューサイト
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上巻なのでまだまだ様子見なのだけれど、何かと暗いシーンが多くてちょっといやな感じだった。でもあえてというか、必然的に(?)そういう、人の暗い闇の部分を描いているのだろうと思う。登場人物ひとりひとりの心理描写や性格描写がとても丁寧で、そこはさすが辻村深月作品だなー! と思った。文体もしっかりしているので、物語に集中できるし、読んでいる間の時間が心地良い感じ。連続殺人事件が起きて、犯人のひとりが主要な登場人物のひとりで、それがはっきりと分かるような書き方がなされているので、これから救いはあるのか? 話がどう転がっていくのか、というのがとても気になる。
よみがな:きむらあさぎ
木村浅葱
主人公が犯した罪の序章で、受験教育に欝々とした少年を誘拐しますが、実は少年はその間に自分を見つける貴重な体験をし、帰還します。鬼畜と表現される主人格が、唯一、少年の中では「恩人」として存在します。その少年に向けて、主人公が最後に送ったメール。「なりたいものになるためには、きちんと生きていかなければならない」不満や大きな夢を語るだけではなく、なりたいものになるなら、まずは日常をきちんと生きろ。
木村浅葱
好きな人は、自分ではない別の人が好きだと勘違いしたことで生まれた悲しい悲劇での一言。