ストーリーも後味も悪い小説
魅力のない登場人物たちこの小説は片桐という主人公がバンコク空港に降り立ったところから始まる。空港の描写はリアルで、旅立つ人や戻る人たちが行きかう活気のある様、異国の空気が香る感じがよくでていたと思う。片桐は積極的に観光をするでもなく、それでいて決して旅慣れている風でもなく、ただそこにいる。羽振りのよさは感じさせるけれど、この時点ではその理由は分からない。最後まで読めば、もしかしたら片桐がこのようなぼんやりした雰囲気をまとっているのは、自分のしでかしたことに対しての茫然自失感がそうさせているのかもしれないと判断できるのだけど、この時点ではなぜそうなっているのかが分からないため、ただただぼんやりして力のない男だなという印象が残った。立ち寄った屋台の店で津田という若い男と出会う。3年タイで働き、タイ語も流暢に操る彼はどこかしら自由人のような雰囲気を出そうと頑張っているようだけど、それよりもど...この感想を読む
2.02.0
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