三四郎の評価
三四郎についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が6件掲載中です。
各項目の評価分布
三四郎の感想
人間として真の自我に目覚め、他の存在を尊敬すると同時に、自分の存在を尊敬するという生き方を説く夏目漱石の「三四郎」
夏目漱石の中期の写実主義的な小説「三四郎」を久しぶりに再読し、「三四郎」だけでは何か消化不良の感が否めず、講演録の「私の個人主義」へと読み進めました。このレビューでは、「三四郎」についての読後感を述べてみます。この小説「三四郎」のテーマは、青年の自我意識の問題を取り上げて、漱石が言うところの"他本位"と"自己本位"への時代の繰り返しがあって、初めて世の中が進歩するという立場からの、一つの時代にとどまらず、長い時代を見通した上での文明批判を述べた小説だと思います。この漱石の思想が最も色濃く描かれている場面の、『すると広田先生がまた話し出した。-----「近ごろの青年はわれわれの時代の青年と違って自我の意識が強すぎていけない。われわれの書生をしているころには、する事なす事ひとつとして他を離れた事はなかった。すべてが、君とか、親とか、国とか、社会とか、みんな他本位であった。それを一口にいうと教育を受け...この感想を読む