誰も救われない暗く重いテーマの物語
原作を知らずに映画を見てもともとこの本を読んでみようと思ったのは、映画を先に見たからだ。真木よう子と大西信満の演技が個人的には衝撃的で、映画自体に重さを与えていた。どこにもいけない、どうしようもない結末で、この作品はとても印象的だったことを覚えている。映画を見て原作を見るということはあまりないのだけど、今回は原作が吉田修一ということもあって、読んでみた。余談だけど、映画の監督は大森立嗣で、俳優大森南朋の実兄である。この弟の方は個人的にあまり好きではない(演技がどこかわざとらしく、リアルな感じを出そうとしているのだけどその雰囲気だけのような気がしてしまうのだ)のだけど、この「さよなら渓谷」の映画はすごかった。なのでこの監督の次回作「セトウツミ」観るつもりだ。こういう風に好きな監督が出てくるのは、新しい作家を見つけたようでうれしい気分になる。空気がよどんだような土地に住む人々どことなく気だ...この感想を読む
4.54.5
PICKUP