ひとりずもうのあらすじ・作品解説
ひとりずもうは、アニメ「ちびまる子ちゃん」の作者として有名な、さくらももこの自伝的エッセイである。さくらももこは、エッセイストとしても、ミリオンセラーの「もものかんづめ」「たいのおかしら」「さるのこしかけ」の初期3部作を始め、数々のベストセラーがある。この本は、2005年に発売され、6年ぶりの書き下ろしということで注目を集め、30万部近く売り上げた。 2007年には漫画版が、2014年には文庫版が発売され、幅広い世代に読まれている。ちびまる子ちゃんは、小学校3年生の時の作者をモデルに書かれたものだが、ここでは、主に思春期や青春時代のエピソードがあり、ちびまる子ちゃんの成長を感じながら読むというファンも多い。 イラストが多数掲載されており、思春期特有の感情や心の変化に共感を覚えたり、昭和の生活や文化、当時のアイドルなどの時代背景に自分の青春時代を思い出したり、作者と同世代の読者には懐かしく読める内容となっている。
ひとりずもうの評価
ひとりずもうの感想
まるちゃんの青春時代の爆笑エッセイ
何度か漫画化もされている青春時代のエピソードの詳細著者さくらももこさんは、ちびまる子ちゃん以外にも、中学生・高校生の頃の思い出話を、読み切り漫画やエッセイで紹介している。それら断片的に描かれてきたエピソードの集大成が「ひとりずもう」であり、小学生時代とは一味違った、少し大人のまるちゃんの姿が描かれている。特筆すべきは、高校時代に漫画家としてデビューが決定するまでの、青春のすべてを漫画に賭け、今までだらだら呑気に過ごしすぎて母親に怒られてばかりいたさくらさんの変わりようと言える。さくらさんが「自分にはこの道しかない」と夢に向かって猛進していく様子が詳細に描かれている。漫画家という、誰にでもなれるわけではない、「現実的かどうか」という意味では周囲に反対されがちな夢をひたすら目指し、行動に移すこと。夢は思っているだけでは夢のままだが、叶うと信じて行動に移せば叶うのだと、さくらさんの意思の強さ...この感想を読む
さくらももこの、青春時代のエッセイ
著者であるさくらももこの、小学生~短大生(漫画家デビューが決まった頃)までの青春時代のエッセイです。最初のページから、いきなり性の話題で驚きましたが、ああ、そういう時代もあったな、と。成長の遅い子は、早い子をそういう風に感じていたのか…と、ちょっと悲しく思ったり。ぐうたらな小学生、中学生、高校1年生を経たからこそ、高校2年生からの爆発的な努力がまぶしく思えるのでしょう。「誰も私の人生の責任なんてとってくれない、他の人の人生じゃない、私の人生なんだ」という部分がとても心に残りました。夢と才能があったからこその、今の著者があるのでしょう。あとがきで、著者が語る、夢についての文章も、心に残ります。中学~高校くらいの若い人たちに是非読んでほしい、良い本だと思います。