聖女の救済のあらすじ・作品解説
聖女の救済は、2006年から文芸誌「オール讀物」に連載され、2008年10月に文藝春秋より出版された、東野圭吾の推理小説である。 また、東野作品で圧倒的な人気を誇る「ガリレオシリーズ」の第5弾でもあり、短編小説集「ガリレオの苦悩」とともに出版された。 この作品のストーリーは、子供ができないことを理由に離婚が決まっていた夫婦の夫側が、妻の留守中に毒入りコーヒーを飲むことにより死亡し、その事件を捜査一課の草薙&内海コンビが担当することにより展開される。 犯人像について、草薙と内海は対立してしまうのだが、「探偵ガリレオ」の異名を持つ大学教授、湯川の協力により解決に至る。 文章構成では、犯人目線での心情などが盛り込まれており、完全犯罪のトリックが明かされたとき、タイトルにも納得できるのが特徴的である。 2012年4月には文集文庫より文庫版が発売され、2013年にはドラマ化。2週にわたりフジテレビで放映された人気作品である。
聖女の救済の評価
聖女の救済の感想
まあ、普通の作品だと思います。ドラマにはならないかな
東野圭吾作品といえば、度々の映画化など読み手にとってある種まとまったイメージを残す作品が多いように思う。つまるところ作品の最初から最後まで「なんとなく」頭に残っているのである。日本橋を舞台にした麒麟の翼でも見られたように舞台が目に浮かぶのだ。しかし、この聖女の救済はどうであろう。読み終えたのちに何か残るものがあったか?と問われると私は途端に並行してしまう。浮気を知った妻が、毎日旦那を救済する。幾年も幾年も・・・一見異常な雰囲気を期待してしまう設定である。しかし、小説内に残されたものは割とありふれたものであったのではないであろうか?容疑者Xの献身や真夏の方程式のように心に残るなんとも言えない悲しさややり切れなさを期待していた身にとってはこの作品はあまりにありきたりであった。せめてもう一声妻の心の叫びに同情したくなるような、何か決して報われないような切なさをどうしても所望してしまう・・・ミス...この感想を読む
恐ろしいまでの女性の愛!
この作品は、主人公の綾音が子供を産めない自分をいとも簡単に捨てた夫、義孝に復讐する物語です。登場人物がもう一人おり、パッチワーク教室講師をする綾音のアシスタントの宏美。彼女は、実は義孝と不倫の関係にあり、彼の子を身ごもっています。綾音は、2人の関係に気づいていますが、宏美を責めるわけでなく、夫だけに復讐するために1年間という異常ともいえる時間をかけ、殺害計画を練ります。犯人が誰であるかは、物語の中盤で気づきますが、殺害する為にどういったトリックを使ったのか?それは、物語の最後の最後まで分からず、ぐいぐいと引き込まれます。いくら裏切られたとはいえ、夫を殺害する為にエネルギーを使えるというのは、深い愛情のなせる技なのでしょうか?同じ既婚者として、私には無理ですが、綾音の気持ちは、痛いほどわかります。しかし、物語を読んだ後、なんとも言えない悲しい気持ちになりました。この感想を読む
パッチワークが印象的
タイトルの「聖女」、パッチワークを商売にしている女性です。その時点でインパクトがあると思います。そんな女性と、なかなか出会う機会がないですから。前にどこかのインタビューで、東野圭吾さんは、「あえて自分が詳しくない設定で描いてみるようにしている」と言っていました。それが、作家としての挑戦だ、ということです。おそらく、その一環として書かれたのかもしれません。この小説は、謎解き小説として面白く、読み終わった後に主人とトリックについてあれこれ話し合ってしまいました。よくわからなかったところもあったのですが、あとからきちんとクリアになり、さすが東野さんだ!と納得。東野さんの数ある作品の中でも、かなり好きな部類です。