ありのままの自分を受け止めるのに、必要な一冊。
パウロ・コエーリョの軌跡はここから始まる。パウロ・コエーリョの著作の全ての始まりとなる一冊、「星の巡礼」。この本を読んで、スペイン語でカミーノと呼ばれるサンチャゴの道を歩く人も増加したという。私の母ももれなく、途中でバスを使いながらも、サンティアゴ・デ・コンポステーラへ行った一人だ。母曰く、小説のようには行かず、途中の道は車の往来が多かったりと随分歩きにくい道もあったそうだ。著者が巡礼をした頃は違ったのだろうか、それでも、巡礼宿に泊まる人々の話を聞くにつけ、母の話からは若い頃のパウロがふと、顔を覗かせたような気がした。「アルケミスト」を太陽とし、世界中の人々に多く読まれるならば、「星の巡礼」は月であると思う。読み進めるには、パウロが所属する教団の儀式を一旦、脳内で想像しなくてはいけないし、巡礼道を導くペトラスが話し出す精神世界を理解するにも、いささか時間がかかる。つまり、デビュー作とし...この感想を読む
5.05.0
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