母性の評価
母性についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
母性の感想
湊かなえ真骨頂のストーリー
全体に漂う気持ち悪さ「母性」という穏やかで神聖なるものの象徴のようなタイトルにもかかわらず、このストーリーには全体的に湿度の高い気持ち悪さをまとっている。それは粘性の高い溶液に浸っているような不気味さだ。読み始めてすぐ直感でそれを感じたけれど、それがどこから来ているのか理解するのにそれほど時間はかからない。母親の手記と娘の手記と交互に語られるこの物語は、自分勝手で自己満足のみで成立した歪んだ愛情を自分の好きなように投げようとする母親と、とそれをなんとか受け止めてろ過し、正常な愛情として自分のものにしようと奮闘した娘の戦いそのままである。そしてここまで歪んだ愛情を正しいものとして疑わない母親の人格はどこで壊れたのか、それは最後までわからないままだった。母親は自身の母親とは仲がよすぎるくらいの仲だった。友達親子とも姉妹親子とも言われるような、限りなくくっつきあった関係は傍目にはとても不自然...この感想を読む