スノードームのあらすじ・作品解説
スノードームは、2004年に刊行されたイギリス人作家アレックス・シアラーによる小説で、日本では2005年に石田文子訳で求龍堂から刊行された。 ひたすら「光の減速機」の研究を続ける、風変わりな若い科学者クリストファーが突然姿を消すことからこの物語ははじまる。クリストファーは同僚チャーリーに不思議な物語が綴られた原稿を残して失踪した。主人公クリストファーの不思議で切ない人生を静かに描いた、美しくも悲しい物語である。 作者のアレックス・シアラーは、テレビやラジオ、映画、舞台などのシナリオライターを経て多くの児童書を執筆しており、「青空のむこう」「13か月と13週と満月の夜」「チョコレート・アンダーグラウンド」などの人気作品に続き、本作も国内販売部数が100万部を突破するなど、特に女子中学生や20代の女性から絶大な支持を受けている。本作は、ガーディアン賞にノミネートされるなど、国内外の評価も高い作品である。
スノードームの評価
スノードームの感想
結局エックマンはなにをしたかったのか
どうして好きな人を大切にするのでなく苦しめるのか読み終わって疑問に思ったのは、なぜ好きな人に、こんな惨い仕打ちができるかということだった。エックマンは容姿のせいで、人に驚かれたり不気味がられがち。だからといって必ずしも、皆が皆、彼を軽蔑し嫌悪しているとは限らないのだが、彼はすこしでも相手の表情がひきつっただけで、そう判断してしまうようだった。なので、動じないというか、無関心なポッピーや、むしろ笑いかけてくるクリストファーは、エックマンにとって、ありがたい存在だったのだろう。ポッピーに関しては、単に興味がないのを、好意と受けとめているあたりは、勘ちがいしているとはいえ、ついぎょっとしてしまうエックマンの容姿に、関心を持たないほうが難しいから、貴重な存在だったのにちがいはない。貴重ならこそ失いたくなく、嫌われるようなこと、相手を傷つけ悲しませるようなことを、できなさそうなところ、でも、ポッ...この感想を読む
大人向けかも。
アレックス・シアラーの作品というと、子供向けの児童書、というイメージが強い。でも、「スノードーム」においては、大人むけかもしれないな、と感じた。もちろん、子どもが読んでもいいんだけど、大人が読むと、もっと深くまで楽しめるだろうなと思う。話は、ある研究員が失踪する際に残した原稿。嘘か本当かはおいておいて。登場人物の感情描写などがすばらしい。いままでの作品のように、わくわくしたりはしないけれど、どことなく幻想的で、切なく、美しい。冒険や友情、勇気ではなく、愛をテーマにした作品。もっとこういう雰囲気の作品をかいてくれたらいいなって思った。
作者は何を伝えたかったのか?
人のススメで手に取ってみたものの、最初から最後までとにかくせつないやるせない物語だった。これはつらい……。これ面白いって言えるのかな、分からないなぁ。アレックス・シアラーさんは、度々こういう、人の中にある不完全さ? 弱さ? のようなものや、悪を織り交ぜた話を書かれるので、最近はどうも読むのが億劫に感じてしまう。先の展開も、そう予想できないものではなかったし、読後感があまり良いものでもなく。メッセージ性も不明で。いったい何を伝えたくてこの物語を書かれたのかよく分からず。よくあんな状況下で子どもを産むことができたなぁ。想像するだけで恐ろしいものが。