罪と罰のあらすじ・作品解説
罪と罰は、1866年に雑誌「ロシア報知」に連載されたドストエフスキーによる長編小説で、多くの小説家、評論家、思想家に影響を与えている世界の文学を代表する小説である。 この作品は、19世紀ロシアのペテルブルグを舞台に、貧しい青年ラスコーリニコフの犯した殺人を巡って展開され、遂にはシベリアへ流刑するまでを描いている。彼は、目的が良心から出たものであるならそれを達成するまでの罪は罰するべきではない、と考えていた。そしてそれを実践するために、多くの人々を苦しめている金貸しの老婆を殺害するのである。予審では判事に追及されても自白しなかった彼だったが、家族のために犠牲になって娼婦をしているソーニャに会うと、その信仰心と愛に負けて彼女に犯行を告白してしまう。そして遂に自首を促がされて決意するのである。エピローグではシベリアの監獄での様子が描かれ、彼が徐々に再生への道を歩んでいる事が伺われるが、その先は読者の想像に委ねられている。
罪と罰の評価
罪と罰の感想
懐かしい大好きな本
多分、初めて「罪と罰」を読んだのは、この本だったのではないかと思います。原作よりもかなり平易な言葉と文章で、物語も冗長的な部分が短縮されていました(これはあとから原作に忠実な訳を読んで知ったのですが)。貧しいがゆえに殺人を犯してしまう主人公がまずエキセントリックというか。子ども心にかなり衝撃的でした。苦悩の日々が始まって、主人公と一緒にもやもやするんですよね。そして最終的にソーニャが許しを与えてくれるのが、とても感動的で、ソーニャの慈愛が、心にまっすぐ響きました。自首をすることになって、とてもホッとしたものです。心理描写が丹念なのが面白くて、何度も読み返した一冊。
色々と考えさせられる名作
秀才であるのに、貧しいばかりに勉学の道を諦めざるをえない主人公。自分自身を優先するあまり、人を殺してしまう。自分は特別な存在なんだと思い込んで・・・犯行後、罪の重さに耐えられず疑心暗鬼になり憔悴してゆく。心優しき女性との愛で主人公の罪があらわになってゆく。主人公が追いつめられていくと、ハラハラせずにはいられない。どんなサスペンスよりも恐怖がありますが、自ら犯した罪に苦しめられ、それが誤りであったことに気づいたとき、誤りを認めることこそ本当の「罰」であり、「許し」なのだと思った。ほかの人たちは知らないけど、自分だけが知っている様々な行い。社会の中の自分の居場所について考えさせられた名作でした。