横道世之介の感想一覧
吉田 修一による小説「横道世之介」についての感想が5件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
吉田修一☆最高傑作
吉田修一さんの中で一番大好きな作品です。呑気で人懐っこいお人好しの横道世之介。ホントにどこにでもいそいうなフツーの大学生のなんでもない日常のお話です。彼と出会った人々の20年後も描かれており、「そーいえば、横道世之介ってやつがいたよな〜」と頭の片隅にほんわりと残っていて、なんとなく思い出して、優しい気持ちになれる。出会ったからいって、人生が変わるわけではないけど、ちょっぴり嬉しい気分になれる。それが、横道世之介。ちょうど昭和の終わりの頃の空気が漂っていて、なんとなく懐かしく感じながら読みました。読後はじんわり涙が出て、世之介を愛おしく思う気持ちでいっぱいになりました。
キャラクターが皆かわいいです
ネットで応募した試写会に当選したため、映画を観に行ってきました。吉田修一さんの作品はもともとすきなのですが、本作はまだ手にとっていませんでした。 映画を観た帰り、本屋さんで買ってしまいました! 家に着いてから読み始めて、日付がかわるころにはとても清々しく前向きな気持ちになりました。 主人公の世之介のキャラクターがまず素晴らしかったです。本当にかわいい!憎めない!映画では高良健吾さんが演じていましたが、まさにはまり役だと思いました。 作品全体を通してテンポがよく進んでいくので、ページを進める手も自然と早まってしまい、はやく次のページが読みたい、と思いながら読み終えました。 すごく面白かったです。
世之介に会いたくなりました。
20年前に大学生になった横道世之介。彼のことを評するなら、普通の人、でもいい人。大きな出来事があって起承転結という話ではないのですが彼の大学生活を知っていくと、不思議と惹かれる魅力があることに気づきます。そして、どんどん引き込まれていきます。淡々と話が進むのでスルスルと読めます。読み終わったら、世之介に会いたいなって思います。こんなひと、普通の人なのに、いそうでいない。だから余計に惹かれるのかもしれません。しばらくすると、また世之介に会いたくなって本を開きます。手元に置いておきたい1冊です。映画化もされているので、それも見て、もう1度読み直したいなと思います。
ある男と彼にまつわる人々の感動傑作
とても面白かった!!吉田修一さんの作品の中では1、2を争うくらいの面白さだったように思う。とりたてて緩急のするどい、いろんな出来事が起こる小説、という訳では無いのに、読んでいくうちに横道世之介に対する愛着がどんどん湧いてくる。とある大学生の、等身大の日常(?)とでもいうような。それでも心に残るものがたくさんあって、終盤ではせつないのなんのって、もっと彼のことを見ていたかった。もっと先のことが知りたかった。登場人物と同じように、胸が詰まった。文庫本が出たら買いたいと思っていたので買わねば。そして映画化もされたので、映画もぜひ観なければ! と思っている。
世之介のことを今でも思い出す。
この小説は、映画「横道世之介」を観た後に読みました。映画が素晴らしく印象に残り、映画が終わった時、もう世之介に会えないのか…と思うと妙に寂しくて、世之介に会いたいという思いでこの小説を手に取りました。映画ではなかなか汲みとれなかった、世之介をはじめ、祥子ちゃん・加藤・千春さん・倉持などの登場人物の心の中を垣間見れて満足です。特に世之介以外が、ふと世之介を思い出して過去を振り返る時、それぞれの世之介への想いがあって涙が溢れました。小説は、たった1年間の世之介の物語ですが、四季の移り変わりや、時間の経過とともに変化していく主人公の成長っぷりは、微笑ましい。そして世之介の周りにいたみんなの現在と過去が交錯して、この小説に描かれていない時代に何があったのかを想起させられました。誰にでもあるだろう懐かしい思い出。きっと、誰かを思い出すと思う。そして、温かい気持ちになると思う。私も世之介の友達の一人...この感想を読む