きいろいゾウのあらすじ・作品解説
きいろいゾウは、2008年3月に発売された西加奈子による長編小説である。累計43万部を突破する大ヒットと作品であり、2013年には、宮崎あおいと向井理を主演に迎え、映画化されている。著者がアルバイトをしながら執筆した最後の作品であり、著作初の映像化された作品でもある。宮崎あおいと向井理は共に原作のファンであり、宮崎あおいに至っては「いつかツマ役を演じてみたい」と原作本の帯コメントによせていたほどである。 この作品は、動物や自然の声を聞くことができる妻利愛子こと「ツマ」と、背中に大きな鳥のタトゥーがある売れない小説の無辜歩こと「ムコ」の仲の良い夫婦が、九州の片田舎に引っ越し、そこで起こる様々な出来事や一風変わった人々と向き合いながら、大切な今に気付いていく物語である。 また、本作のタイトルでもあり、作中にも度々登場するゾウのエピソードを元にして著者の西加奈子自らが絵本とした描いた作品が、2006年に発売されている。
きいろいゾウの評価
きいろいゾウの感想
原作のみ
「きいろいゾウなんかいるん?」このタイトルをはじめて見たとき、ボクはこう思いました。皆さんはどう感じたのでしょうか。内容は夫婦の物語です。私は、映画を見てから、この原作を読みました。登場人物は、統一性がなくて、なにかいい意味で不安定でした。この作品からは、自分の過去や未来にとらわれることなく、現在をちゃんと見つめてということが伝わってきました。なにか1文1文が大切な言葉なのだとも感じました。そして、クライマックス。ムコとツマの悲しみが同調する場面は、ボク的に少し冷めてしまいましたが(これは映画でも同じ)、映画じゃなくて、この原作だけ見れば面白いと思います。
憧れの夫婦
ムコさんとツマは本当に素敵な夫婦だなーと作品を通してひしひしと感じました。前半は、ゆるーい田舎の空気と、ムコさんとツマのほのぼのとした生活風景が流れ、ふたりが『世界不思議発見』の話をしてるくだりとか、生活観あっていいなーと、とっても穏やかな気持ちで読んでいきました。後半に向かうにつれてはいろんな事を考えさせられました。夫婦であり、毎日一緒にいても、分からないことなんてきっと沢山ある。でもそれも含めてその人を愛することができるか。とか、夫婦の形について改めて見つめる機会を与えてもらったような気がします。そしてクライマックスで、一気に鳥肌立ちました!すばらしい!結婚、夫婦っていいなーって思いました☆こんな夫婦になりたい!
夫婦の愛情物語
背中に鮮やかな鳥の刺繍を持つまだまだ売れない小説家ムコさんと、動物や植物をはじめ周りに存在する様々なものと対話できてしまうツマさん夫婦の物語です。都会を離れ夫婦で移り住んだ田舎の一軒家、最初は何もかもが幸せだった夫婦生活。ところがムコさんあての都会からの手紙を機に段々と二人の間に溝のようなものができてしまう。前半がほっこりとした内容だったので、ほんわかストーリーのまま終わるのかと思いきや、読み進めていくうちにどんどんと重量感を増すストーリー展開でした。かといって重苦しいわけではなく、純愛とも呼べるストーリーに、ファンたー要素がうまく絡みあって読後は幸せな気分になれました。個人的にはキーになっている童話の存在がいい味を出していると思います。