死ねばいいのにの評価
死ねばいいのにの感想
考え方次第で人は幸せになれる
他人に死ねばいいのにと言える無責任さ"死ねばいいのに"という言葉をどのニュアンスで受け止めるか。ハタチ前後の若かりし頃であれば、すんなりと理解できたのかもしれないが、近しい人の死を経験し、死というものが以前よりも身近になった今、ケンヤの口から出る"死ねばいいのに"という言葉に重みを感じ、まるで死刑執行人からの言葉のように受け止めていた。それは間違いだった。彼の言う"死ねばいいのに"は、もっとずっと軽かったのだ。学生のころは確かに笑いながら、死ね!だの、死ねばいい!だのと言っていた。ケンヤにとっても、そもそもはそんな軽い言葉でしかなかった。ケンヤがアサミの関係者を訪ね歩いて、不満だらけの彼らへ発した"死ねばいいのに"には、アサミ殺害後であるから、ある程度の重みはあったと思われるし、この言葉で彼らがどう反応するのかを見るために発したわけだから、やはり軽くはないのだけれど、責任もなく、子どもだったこ...この感想を読む
一冊まるごと「不快」を表している本!?
殺人事件の被害者「アサミ」のことを聞かせてくれないか、と訪ねる無礼な男と、男にたずねられる、アサミとさまざまな関係性を持った人々。たずねられた人々は困惑し、男の無礼さに立腹し、しかし結局、なぜか率直に自分の心の内のモノをさらけ出して言ってしまう、「死ねばいいのに」と−。京極夏彦の既存のシリーズとはひとあじ違った物語。センテンスが長く、ぐだぐだとした自分語りが地の文の大半を占める本作はミステリとも呼ばれ、男の行動はたしかに「にわか探偵」的ではあるが、本書の目的は謎解きにあるわけではない。むしろ、一冊まるごとが「不快な感じ」を文章で表したかのようにも見える、奇妙な本だ。不在の人物を語りの中心に据える、という方法も、聞き手の男が莫迦を装う(というか、主張する)のも、手法としては特に新しくはない。後半、少々語りがダレ気味で、「死ねばいいのに」もちょっと無理矢理な感じがする。エンタメに徹するには...この感想を読む