狂骨の夢のあらすじ・作品解説
狂骨の夢は、京極夏彦の代表作百鬼夜行シリーズの第3作目にあたる長編推理小説であり、シリーズ最高の叙述トリックといわれている。 逗子に住む作家宇多川崇の妻、朱実は恐ろしい夢と記憶に苛まれていた。ゆっくりと海に沈み朽ち果てて白い骨となる夢、そして殺人の記憶だ。女を絞め殺し、そして夫だった男を殺しその首を切り落とした。しかし殺したはずの夫が蘇り何度も彼女を訪れ、そのたびに朱実は夫を殺すのだ。夢か妄想と思われた朱実の記憶、しかし現実に逗子湾で切断された生首が発見され、朱実は夫である宇多川崇を殺してしまう。死の前日、宇多川から朱実の死んだはずの夫殺しを相談された関口巽、海に線香を手向ける朱実と出会い殺人の告白を聞いた伊佐間一成、朱実が懺悔に訪れた教会の神父と複雑な登場人物が交錯し、やがてひとつの恐ろしい過去へと繋がってゆく。 志水アキにより漫画化され、2010年7月より2012年10月まで「コミック怪」に連載された。また2012年5月に、妖kASHI座/grande chaletにより舞台化されている。
狂骨の夢の評価
狂骨の夢の感想
幾度も続く死の連鎖
どこまでこの京極堂シリーズは分厚くなるのだろう。そう思いながらもやはりこの分厚さであるが故の面白さがここにはあるのだ。前作で亡くなった久保竣公の葬儀に出席していた関口巽は同席していた宇多川から相談を受ける事となる。なんとも奇妙な不可解な事が起こっていると宇多川から相談を受けた関口は目眩坂を登って京極堂の元へ向かう。死者が何度も蘇りそして何度も同じ様に殺される。不可解さはあるが本作は前作よりアクが強くない、どんよりとした夜の海を覗き込んでいる様な感じだ。今回の見所は宇多川朱美の夢。髑髏は沈みゆき朱美は次第に俗世から離脱し壊れていく。いさま屋との朱美の出会いも見所だ。レギュラーキャラよりもサブキャラに惹かれた作品でもある。