憤死のあらすじ・作品解説
憤死は、2013年に河出書房新社で発行された、作家綿矢りさによる短編連作ホラー小説である。著者自身が世にも奇妙と感じた恐怖を題材に書かれた4作品を集めたものである。代表作でもある表題作は、2011年雑誌『文藝』に書き下ろしとして掲載、のちに2013年に『群像』、『文藝界』にも掲載された。 あらすじは、自殺未遂をしたと噂が流れる小中学校時代の女友だちに、主人公の私が興味本位で病室に訪れて、彼女が自宅のバルコニーから飛び降りた話しを聞くことから恐怖がはじまる。他3作品は「おとな」「トイレの懺悔室」「人生ゲーム」である。 「おとな」は2012年8月2日の毎日新聞夕刊、「掌の物語」の蘭に「夢」を掲載した作品を改題したもの。近所の親父に洗礼という悲劇を受けた少年の「トイレの懺悔室」は2011年雑誌『文藝』、丸を付けたマスに止まると不幸になる「人生ゲーム」は2012年9月に雑誌『群像』にそれぞれ掲載された。
憤死の評価
憤死の感想
4編の、怖い話の短編集。
表紙が、白地にピンクで文字が描かれていて、小さなハートも隠されていて、とっても可愛いのに、題名が「憤死」という似合わないものなので、目を引きました。4編の短編からなる本です。「おとな」は、実話風で、暴力的な怖さがある。「トイレの懺悔室」は、この著者にしては珍しく、男の子が主人公。なんだか気味が悪くて、後味の悪い怖さ。背中がザワザワする感じ。「憤死」は、最初、あまり怖い話だと思わなかったけれど、時が経つにつれ、怖くなる。主人公は、友達のふりをした、冷徹な観察者であり、佳穂に対して歪んだ感情を持っていると思う。しかし、佳穂も、主人公の事を友達とは思っていないみたいだから、お互い様なのだろう。佳穂が、ブチ切れて、ウサギ小屋の前で暴れる場面が、奇妙で、印象に残った。「人生ゲーム」は、ゲームの通りに、不幸が起こるのが怖かったけど、最後はホッとできるので、いい話だと思う。これも、男の子が主人公の話...この感想を読む