「ごんぎつね」と「てぶくろを買いに」、幸せな結末を迎えたのはどちらか?
「ごんぎつね」はバッドエンドか国語の教科書に載る定番の童話である「ごんぎつね」。主人公の子ぎつねが人間の兵十に撃ち殺されるラストシーンは、子供の目にはひどくあっけないバッドエンドに見えるでしょう。健気で哀れなごんが、薄情な兵十に殺されてしまう物語。しかし、本当にただそれだけの物語なのでしょうか。大人になってから読み返してみると、まったく違うストーリーが見えてきます。「ごんぎつね」は、視点主であるきつねのごんが非常に感情豊かなため、一見、人語を解するきつねによるファンタジックなストーリーに思えます。しかし実際には、ごんが発言をするシーンは一切ありません。ごんが思ったり感じたりしたことは、ごん自身の中から外の世界に出されたことは一度もないのです。うなぎにまきつかれて横っとびに飛び出す挙動といい、森の中に穴をほって暮らす習性といい、その姿は特別なものではなく、あくまでもただの野生動物です。兵...この感想を読む
4.54.5
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