手ぶくろを買いにの感想一覧
新美 南吉による小説「手ぶくろを買いに」についての感想が9件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
ほんのりあたたかい
きつねが手袋を買いに行く話。たったこれだけの話なのになんでこんなに人気なんだろう。日本人のこころにひびくなにかがあるんだろうなあ。教科書にのるぐらい有名で、かつ、こころがあたたまるようなお話。この作者はいつもきつねだなあってイメージ。ごんぎつねを書いたのと同じ人です。この人がなんでこんなにきつねが好きなのかが知りたい。きつねだとわかっていながらもちゃんと手袋をうってあげる人間や、間違いをしちゃったけど手袋が買えてよろこぶこぎつね、こぎつねに化かしたほうの手を出すようにいう母狐。子供の頃に読んで、ひとりでおつかいにいってみたくなったのを覚えている。
懐かしいお話
今度、子供に買って読んであげようと計画中の絵本です。子供達がどんな反応をするのか、今から楽しみです。私自身が子供の頃、母に何度も読んでもらった思い出の絵本でもあります。黒井健さんの絵がとても綺麗だし、お話の内容も優しさがいっぱいで、心があったかくなる一冊です。子供の頃、子狐が買いに行った手袋がとても温そうで、羨ましくて、同じような手袋が欲しくなり、祖母が手袋を編んでくれたのも良い思い出です。子供心に、子狐はちゃんと手袋を買いに行けるのか、と読んでもらう度にドキドキしていました。我が家の絵本棚にもうすぐ仲間入りするこの絵本は、お勧めの一冊です。
心温まる素敵なお話
読み聞かせ、本を読み始めた幼い子供、それぞれの用途にもぴったりとある素敵なお話だと思います。挿絵にひかれて買った絵本でしたが、幼いころに読んだときの感想そのままに、きちんと手袋を買うことのできた子ギツネにほっとしました。お母さんギツネが、子ギツネの片方の手(前足)だけを人間の子供の手に買えてお金を握らせてやるあたり、自分が初めてお使いに行くように微笑ましく思いました。戻ってきてお母さんに、「間違えたほうの手を出してしまったけれど、ちゃんと手袋を買うことができた。」と報告する子ギツネ、電灯の明るさに目がくらみながらも「あ、しまった。」とちゃんとわかってたんだな、とちょっと笑ってしまいました。 温かい、とてもいいお話です。
教科書でおなじみ
教科書でお馴染みのこの作品。個人的には、作者が私の地元出身だけあって、小学校中学校の頃は相当にプッシュされた教育を受けてきました。ストーリーも有名で、ラストのセリフも言える人が多いようです。おそらく小さいころに読んだであろうこの作品を、大人になってからも好きだと思える人がいるということは、素晴らしいことだと思います。切ないラストシーンは、特に印象的です。子供時代にも強烈な印象を与えるような作品だと思いますが、大人になってから読み返しても、大切な何かを教えてくれる、そういう力を持っているものだと感じました。更に年を重ねたら、どのように感じられるのか楽しみです。
思い出深い童話の名作
小学生のときクラスでこの劇をしたのを憶えています。色々印象に残ることが多いお話で、作者の「新美南吉」という不思議な名前の響きとか、手袋を買いに行くのになぜ帽子屋さんなのかとか、お母さん狐が言った「丸いシャッポの看板」のシャッポって何なのかとか、当時感じたことが今でも鮮明に思い出されます。このお話を読んで頭に浮かぶ狐の親子は、絵本の表紙そのままに、ふわふわで明るい黄色で、とても可愛らしい狐です。「人間というのは怖いんだよ」と子狐に話すお母さんが、子狐から「人間は怖くないよ」と教えられるというのも、大人も子供の成長から学ぶべきことがたくさんあるんだよという作者からのメッセージのように感じます。
大好きな絵本
子供の頃から 大好きな絵本のひとつです。初めて雪をみて子狐がビックリするところがかわいくて好きです。無邪気な子狐と、その子狐をやさしく見守る母狐。子狐が手袋を買いに行き、間違って狐の手をだしてしまうシーンは、ちょっとはらはらしますが狐が買いに来たことに、気がつかないふりをしてくれる帽子屋さん。買い物を終えて、早くお母さんに会いたい子狐と、心配しながら待っている母狐の愛情に、心温まります。絵もすごくきれいで、繊細なタッチが物語りにピッタリ合っています。昔から読み続けられている絵本ですが、これからもずっと読まれていくでしょう。私も、子供と一緒に読みたいと思います。
ほっこりする
「手ぶくろを買いに」は子供の頃に母と呼んだ記憶があります。何回も読みました。とても印象に残っているのを覚えています。母ぎつねが子ぎつねに人間の怖さを語り聞かせ、子ぎつねは素直にその話を聞いて人間に恐怖を覚えます。そして初めてのおつかい的な感じで手ぶくろを買いに行きます。人間に会ってきつねだとバレたら殺されてしまうということを念頭に置いて、手袋をはめた手だけを出して手ぶくろを買うわけですが、そこで間違って普通のきつねの手をうっかり出してしまうんですね。その時の手ぶくろ屋の対応でほっこりするお話しです。思い込みはいけないんだな、と子供ながらに思ったのを覚えています。
子供に読ませたい絵本
こちらは同じキツネをモチーフにした作品ですが、新美南吉さんの別作品。「ゴン狐」とは全く対象的な終わり方になっているように思います。ゴン狐はバッドエンドですがこちらは心温まるエピソードだと思います。冬にほっこりと心あたたまる作品です。間違えて手袋を出すキツネの子がかわいらしいです。帽子屋さんがいい人でよかったです。もしキツネに偏見のある人だったらこんな結果にはならなかったでしょう。ですがお母さんキツネは人を悪いものと決め付けてしまっています。どうして人が悪いと思うようになったのかが気になります。黒井健さんの描かれるキツネのふわふわ感がすきです。新美南吉さんの作風にもあっていると思います。
優しいのになぜか切なく感じる作品
新美南吉さんの童話はどれもけっこう好きなのですが、『ごんぎつね』に続くNo2ぐらいに位置する作品です。子どものためを思い、人間の怖さをせつせつと説く母狐、相手が狐だと知り疑いながらもお金が本物だと確かめ黙って手袋を売る商人、人間は怖い人ばかりじゃないと無邪気に思う子狐。キャラクターたちはみんながみんな、最終的には相手のことを思いやった行動をするという優しさにあふれた作品なのに、大人になって読むと、なぜか切なさを感じてしまいます。それはたぶん、純粋に相手のことを信じているのは子狐だけだと気づいてしまうからでしょう。母狐は人間の怖さを身をもって知っていて、狐だとばれないことが信じてもらえる条件だと考え、商人はお金が本物であるかどうかが相手を信じる基準であり、疑念や種の違うものとは相いれないものという諦めを心の奥底に持っているのです。もちろん、現実社会では、無条件に相手を信じることは危険極ま...この感想を読む