恋愛はイニシエーション=通過儀礼
成岡繭子
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『イニシエーション・ラブ』はミステリー作家乾くるみの小説で、2004年に原書房より刊行された。恋愛小説でありながら第58回日本推理作家協会賞候補作となるなどミステリーとしての一面も併せ持ち、「必ず2度読みたくなる」と評された彼の代表作である。映画化は不可能、と言われていた作品だが、2015年に堤幸彦がメガホンを取り、松田翔太主演で映画化された。 舞台は1980年代後半の静岡県、ごくごく普通の大学生である「鈴木」が人数合わせのために参加した合コンでショートカットが印象的な繭子と出会い、恋に落ちる。物語はside-Aとside-Bの2部構成になっており、side-Aでは「鈴木」にとって初めての彼女となった繭子との初々しい恋愛が描かれ、side-Bでは仕事のため東京へ行ってしまった「鈴木」の遠距離恋愛の様子が綴られている。誰もが若い頃一度は経験するであろう淡い恋物語を描きつつも、最後には驚きのエンディングが用意されている。
どんでん返しがすごい、とだけ聞いて手に取って。読み始めたものの、これと言って面白味がなく。このまま終わるのか? と。そしたらもう最後のページになってのどんでん返し。こういうことかー! 騙されたー!! ってなった。それにしても、面白いかというと別の話だなって思ってしまった。最初から最後まで、主人公というか一人称の彼にどうも好感が持てない。話自体よくある感じで面白くない。なぜかひと昔前の舞台設定。読んでいる間の時間が楽しめないっていうのはどうなんだろう。で、騙されたあとの後味もよろしくない(汗)。これに関しては狙ってやってるのかな、と思うけど、それにしても、このどんでん返しのために一冊まるまる読む必要あったのかな。多分好みの問題だと思う。
最後の1行で話がガラリと変わる!!という言葉が帯に書いてあり、どんなラブストーリーなんだろう。と思い拝見致しました。最後の1行までいく前に、もしかして~。と薄々気づく箇所は何箇所かありましたが、結局は“マユ”がやり手な女であり、ずるい女であるという事ですね。もともと、鈴木 夕樹なのに、なんで“たっくん”なんだよーと思っていたけれど、読んでいくうちに『なるほどねー』と、たっくんの真実がわかります。純粋な夕樹のほうのたっくんが、哀れでしかたないです。 そして、そのたっくんの真実がわかったあと、あの時のマユの発言はそういうことだったのかー!などと、また違った視点で読み返すとまた楽しいかもしれません。ただ、なんか純愛小説かなーと思って読み始めたので、ガッカリしました。
『最後の大どんでん返し』この作品に関しては、この言葉が売り文句になっていた。どうやら、物凄いどんでん返しが待っているらしい。期待半分で、手にとってみた。読了後、なんとも言えない気持ちに。騙されたような、してやられたような、でも見解は合っていて・・・。普通に0から100まで、順番に読み進んだつもりだったのに気づけばマイナスが付いていた。・・・あれ?まんまと、そのまま二周目に突入。以後、ウンウン、と頷きながら、今度こそ順番に・・・でもやっぱり、待っていたのはどんでん返しでした。作者の構成の意図が分かったからこそ、真の意味でどんでん返されたような。賛否分かれそうな作品だとは思うけど、個人的には一度読んでみて、良かったと思う。
よみがな:なるおかまゆこ
成岡繭子
若い頃の恋愛は、後々に繋がる通過儀礼であるのであって別れの経験は必ず意味がありムダなものではない。