冷血のあらすじ・作品解説
冷血はアメリカのトルーマン・カポーティにより、実際の事件を題材にして書かれた小説で、1965年に発表された。 1959年にアメリカのカンザスシティの村で、地元の名士の農場主、クラッター家の4人が皆殺しにされた。迷宮入りするかと思われた矢先、2人の犯人が捕まる。作者はこの事件に興味を持ち、5年もの歳月をかけて被害者の友人、警察、周辺の人々等、加害者や同室の犯罪者に至るまで取材を敢行する。事件から加害者の死刑までの一連の流れを、取材記録を元に小説として再構成している。作者はこの小説の手法をノンフィクションノベルと名付け、後世のジャーナリズムに影響を残している。 作者は、犯人の1人、ペリーに心を寄せている節が見受けられる。これは、作者と同じような恵まれない境遇で育ったことによるものである。犯罪を憎んでいるものの、「加害者をもう少し生かしたい」、「早く死刑執行してほしい」という気持ちのせめぎ合いにひどく苦しめられる。題名は、殺人犯のことではなく、加害者の死を願う自身の気持ちを指したという見方もある。
冷血の評価
冷血の感想
結果
タイトルから想像するに「冷血」な殺人鬼の物語かと思い、この本を手に取りました。この本は、作者の綿密な取材を基に生み出されたノンフィクション小説です。「責任」というキーワードが内容でよく連想されます。そして、ノンフィクションということを意識して読んでいくと、かなり重い作品です。正直、容疑者の2人には同情するところがあったけど、凄惨な殺人事件の犯人なので、ボクとすれば複雑な心境でした。「幼少時に愛されることは人格形成の上で重要」ってことも感じました。「結果で、その人のこれまでの人生が他人に決められてしまう」この作品を読んで、ボクはこう感じもしました。
ノンフィクション
トルーマン・カポーティというと「ティファニーで朝食を」が有名で、少し変わった小説家というイメージですが、これは他の作品とはまったく違います。アメリカのカンザス州で実際に起きた、一家4人が殺された事件を徹底的に取材したノンフィクション。事件捜査から犯人の生い立ち、そして刑が執行されるまで綿密に書かれています。犯人は二人組みの男性ですが、カポーティは特にペリー・スミスに興味を持ち深く取材しています。彼らは、被害者家族に特別な感情を持っていたわけではないのに、なぜ犯行を犯したのか?はっきりした理由がないからこそ、犯人たちの心の闇の深さを感じさせられます。