ふとニヤけてしまうエッセイ集
電車の中では読まないほうがいいかもしれない奥田英朗のエッセイは他の作品も読んだことがある。確かに所々ふっと笑ってしまう描写はあったけれども、これほどではなかった。笑いをこらえようとしても唇の端がふとあがってしまうような、変な顔についついなってしまう。奥田英朗自身は多分読み手を笑わせてやろうとは思っていないと思う。至って真面目に思っていることを書き、どうしてそうなるのか奥田英朗なりに分析しているのだけど、そこに興味持つんだ!という驚きとその着眼点のセンスのよさに、ついつい引き込まれてしまうのだ。このエッセイの種類としては、なんということもないことでも話の面白い人が話すと面白くなるといった技術的なものではなく、分かる人には分かりすぎるほど分かってにやついてしまうという種類になるかと思う。かといっていわゆる“あるある”的な話ではないため(あくまで奥田英朗自身の経験と感覚から生まれた話なので)...この感想を読む
3.53.5
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