いざやるつもりだった決意は、 一度挫けると再びその気になるまでに相当時間がかかる
山井多香子
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本作で、初めて辻村深月さんの著作を読みました。クセのある作家さんというイメージでしたがこの本に限って言えばなのかな?淡々と話が進むという感じでさらっと読めました。ただ、扱っているテーマが結婚なので淡々と話が進むのが、怖いと感じる人も(特に独身男性は)いるかも、という気がしました。結婚式といえば、女性であれば完璧にしたいもの。本では、4組のカップルが結婚式を挙げるのですがそれぞれ問題あり、事情もありで、なかなか楽しめました。完璧、というものの考え方もイロイロだな、と思いました。式を完璧にしたいのか、式を機に二人の関係を完璧にしたいのか。結婚って幸せだけれど、怖いことでもあるな、と思いました。
縁起が良い大安の日に行われ、人生最大の幸せな瞬間を迎えるはずの4組の結婚式。けれど4組ともに大きな問題を抱えていて・・・という設定がまず身近でいて面白かった。それぞれの結婚式のキーマンとなる人物の独白で話が綴られていくので最初はひとつひとつの式の様子やその人物の状況しか把握できないのだが、物語が進んでいくにつれそれぞれが式の山場を迎えていき、読んでいてハラハラさせてくれる。その山場で突如ある事件が起きそれをきっかけに4組の式は大きな転機を迎え物語は結末へと進んでゆくのだが、そのストーリー展開がよくまとまっていて読んでいて心地よかった。結婚式場という幸せの絶頂の舞台となる場所で繰り広げられる複雑怪奇な人間模様と事件がうまく噛み合わさって、シリアスな雰囲気漂うのにクスリと笑え、最後は大安のような朗らかな気持ちにさせてくれる作品だった。これを読むと女子は絶対結婚式を挙げたくなるはず。この感想を読む
山井多香子
大きなことをしようとしたときに上手くいかなかったときに言った一言