舞踏会・蜜柑の評価
舞踏会・蜜柑の感想
芥川の実体験から
作者の芥川の実体験をまとめた「蜜柑」はとても短い作品です。誰もいない駅から列車の二等客室に乗り込んだ芥川の後から、慌てて乗り込んできた粗末な身なりの娘。不快さを忘れるために新聞を読んでもつまらない、そんな筆者が眠っている間に、娘が窓を開けてちょうどトンネルに差し掛かり酷い目に遭ってしまったり、我慢の限界が来てどなりつけようとしたときに、娘の取った行動が、筆者の心から倦怠感を取り去る。終盤、芥川の娘に対する優しい視線が胸にしみます。あっという間に読めてしまうくらいの長さですが、いつまでも暖かさが心に残るような色んな人に読んでもらいたい作品です。