繊細かつ透明感のあるサリンジャーの傑作
サリンジャーとの出会いサリンジャーを初めて読んだのは「ライ麦畑でつかまえて」で、中学生の時だった。ホールデンの気持ちは自分の気持ちを代弁しているように思え、私もまた周りに人たちの行動に見え隠れするエゴやインチキくささに「反吐がでる」などと言っていた(個人的には少し恥ずかしい思い出ではあるけれど、このように影響を受ける子供が多かったからか、この「ライ麦畑でつかまえて」はアメリカの図書館では追放の処置を受けている)。そこから「ナインストーリーズ」「大工よ、屋根の梁を高く上げよ」「フラニーとゾーイー」と続くわけだけど、なぜか目すべりして読めなかった「大工よ~」以外のその2冊は私の心を捉え、以来愛読書となっている。読む本がないときなどこれらのどれかをカバンにいれておけば間違いないという位置づけである。この位置づけになる本は、私の中ではサリンジャーと村上春樹だけである。そしてそのどれもがボロボロ...この感想を読む
5.05.0
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