『アンネの日記』のあらすじ・作品解説
世界一有名な日記と言っても過言ではないこの『アンネの日記』は、第二次世界大戦中、ドイツ占領下にあったオランダ、アムステルダムでユダヤ人狩りから隠れ住んだ8人の生活を日記として書いた物だ。読み物としてだけでなく歴史的な記録としても大変重要な物である。 作家希望であったアンネ・フランクは自分用の日記と、公表するために書いた日記二つを持っており、2003年に発表された「増補新訂版」はこの二つを合わせた「完全版」に更に新しく見つかった日記の内容を加えた内容である。 13歳のアンネは生き延びるために自分の家族や他の家族と隠れ住むことになった。家から出ることもできず、窓も開けられず、大きな音を立てることもできない。不満が募りながらも前向きに生きようと勉強を続ける。大勢での共同生活は様々な人間関係を生み、母とはソリが合わないが、同世代のペーターと恋をする。 思春期の貴重な2年間でアンネの生きた時代と感じたことを読み取ることができる。
『アンネの日記』の評価
『アンネの日記』の感想
色褪せないアンネの日記 ~アンネが私たちに教えてくれること~
今さらのアンネの日記 アンネの日記は聖書に次ぐベストセラーなどと言われるが、今回読んでみて、世界中で読み継がれている理由がよくわかった。アンネの日記は私たちに、ただ戦争の悲惨さを教えるだけではない。自分の意思を持ち考えることの大事さを伝え、人間の持つ可能性を信じさせてくれる。 学生時代、推薦図書としてアンネの日記が挙げられていたこともあったが、読んでみようとしなかったのはなぜだったか…。はっきりこれといった理由はないが、あまり変化のないであろう隠れ家生活の記録を退屈に感じそうだったのと、日記を書いた少女が悲惨な最後を遂げているという事実が重くて、読む気が起こらなかったからだと思う。 だが実際に読んでみると、確かに隠れ家での生活は変化に乏しいが、だからこそ時折行われる誰かの誕生日やクリスマスなどのイベントがどれほど隠れ家の住人の心に潤いをもたらすか、また限られた空間に閉じ込められた人々の...この感想を読む
アンネのことを身近に感じます。
子供の頃(小学校高学年の頃)読んだ時は、難しい印象を受けた『アンネの日記』です。今改めて思うと、アンネ自身が14,15歳の少女だった訳で、11、12歳の自分には解らない部分があって当たり前だったのかなと思います。ヒトラーのことも、当時アニメ世界名作劇場『トラップ一家物語』を観ていて何となく知っているぐらいだったので、中学生になり、歴史を詳しく学ぶようになってから繋がる部分が出てきて、初めて理解できたのを覚えています。そして大人になり、この完全版(決定版)を手に取り、全て読むことができて、初めてしっくりくる部分もあり、お金持ちでないと国外に逃げることができなくて、地下で身をひそめて生活する人々が多く居たことを考えると、切なくなりました。時代が違えば、アンネは幸せになれただろうなぁと思いました。
隠れ家の様子が詳しくわかる
アンネの日記は、小学生から読めるように絵本になったり、短く編集され簡単訳された本が巷に沢山でていますが、この完全版は、ほぼアンネが書いた原作そのままが訳された本です。アンネの文章が、ここまで描写が細かく記録として書いてあることに、文章力の凄さに驚きました。両親、姉、恋人、友達、同居人、猫の事等、アンネが感じたままに書いています。アンネの年齢が今でいう中学生くらいでしたから、性への関心もあり、その事も書いてあります。また、隠れ家での生活の様子、ゲシュタポや警察に密告される事への恐怖など、その当時のユダヤ人がどのように迫害されていたかがよく分かります。最後の日付の日記にも、隠れ家での変わりない日常とアンネの気持ちが書かれていますが、その数日後に見つかり連行されてしまうなんて…あまりにリアルで心が痛みました。