細雪の評価
細雪の感想
市川崑の細雪
映像表現がさすがである始まりから映像に魅せられる。女優達の顔アップからしかも、カットの切り替えの早さにドキドキさせられた。昭和初期という昔を舞台にした、作品自体も古いものだからと高を括って構えていたのもあり、目を一気に覚ませるものであった。4人の女優は皆美しく、気迫があるので、安定的なバストショットではなく、顔アップにされるとその女優たちの魅力はさらに引き立つ。しかも、セリフの掛け合いを超えるぐらいのカットの切り替えの早さは、女優達の芝居の掛け合いの強さをさらに助長させる。こうして短い冒頭のシーンだけで、これからまさにこの女4人の物語が始まるのだとしかと印象付けられるわけである。また、貞之助が雪子の口元についてセリフで触れるところもあり、そのセリフに繋ぐために顔アップのカットを重ねてきたのではないかと思うと、さらに感心する。女の口元を映すと、ああも色っぽいのかと、市川崑監督の女を捉える...この感想を読む
いつまでも心の奥底にそっとしまっておきたい宝石のような、市川崑監督の日本映画の珠玉の名作 「細雪」
春-----恒例の花見をする船場の旧家・蒔岡家の四姉妹たち。三女・雪子(吉永小百合)と四女・妙子(古手川祐子)は、妙子の駆け落ち事件で長女・鶴子(岸恵子)の夫・辰雄(伊丹十三)と衝突したのが原因で本家を嫌って、次女・幸子(佐久間良子)の分家に身を寄せていた。だが、妙子は仕事や下層階級の若者との恋愛に夢中で、雪子は見合いを次々に破談にし、幸子を悩ませるのだった。例えば、面白い映画というのは、外国映画、日本映画を問わず、数限りなくある訳ですが、いつまでも心の奥底にそっとしまっておきたいような作品は、そうある物ではありません。名匠・市川崑監督の後期の「おはん」と並ぶ代表的な作品だと言える「細雪」は、そんな宝石のような名画だと思います。文豪・谷崎潤一郎原作による、大阪・芦屋の旧家の四姉妹と、その周辺の人間模様を魅力的に繊細に、そして華麗に描き切ったこの作品は、浪花言葉の美しさや日本家屋の素晴らしさを余すところ...この感想を読む