ザ・マジックアワーのあらすじ・作品解説
ザ・マジックアワーは、2008年に公開された三谷幸喜監督による日本の映画である。三谷監督作品の第4作目である本作は、東宝スタジオ内に巨大なセットを組み、街並みを再現して撮影された。 タイトルにもなっている「マジックアワー」とは、映画や写真の専門用語で、日没後の残光が残っているほんのわずかな、そして最も美しい時間のことを意味し、作中においては「誰にでもある、人生で最も輝く瞬間」として表現されている。 港町を牛耳るマフィアのボスの愛人に手を出した備後登は、伝説の殺し屋デラ富樫を見つけて自分の命を守ってもらおうと彼を探すが一向に見つからず、仕方なく売れない俳優村田大樹に「映画の撮影」と称し、村田にデラ富樫としてボスと話をつけてもらいことを乗り切ろうと四苦八苦する。騙す備後、騙されている村田、村田を本物のデラだと思い込むボス、そして彼らを取り巻く人間たちにより巻き起こる事件が、最後には思わぬ結果を生み出すコメディードラマである。
ザ・マジックアワーの評価
ザ・マジックアワーの感想
三谷作品の中では1番お腹から笑えるかも
「THE 有頂天ホテル」も嫌いではなかったのですが、何だか間延びしている部分があって最後は観てて少し疲れた部分がありました。でもこの「ザ・マジックアワー」は最後まで本当に楽しめる作品でした。あの佐藤浩市さんが演じる売れない役者が演じる「デラ富樫」かな。彼は映画を撮影していると思っているからその身振りがすべてオーバー。ナイフを舐めたりしてその動きは恐怖というより笑いでしかないんだけど、ボスは本当のデラ富樫と信じ切っているからまた面白い。この作品、最後まで観ると本当の「デラ富樫」が分かるんだけど、全く佐藤浩市さんが演じているような人と違うからまたそこが面白かったりしました。
日本の喜劇映画ももっと評価しても良いのではないかと思う作品
どうもアメリカやイギリスなどの欧米に比べるとどうも日本は喜劇映画への評価が低いように思えてなりません。ただ喜劇って人間の喜怒哀楽のなかで一番難しい「笑わせる」ということをしなくてはいけないし、更に「笑わせる」だけではダメで、笑わせて猶更ストーリーも確立されるという難題もあるだけに、私的には最も難しいジャンルだと思うのです。そんな喜劇映画の日本の代表と言えばやはり三谷幸喜監督でしょう。この作品でも三谷テイストは満載。役者陣が自らも楽しんで映画を作っているのが伝わってきて観ている側も楽しくなってしまう映画なのです(特に佐藤浩市さんね)。また壮大なセットも見どころ。本当の不思議でおかしい街がどこかにあるようです。
魔法の時間
三谷幸喜監督作品といえば、何も考えずに笑える面白さと、見た後になぜか心が温かくなるシナリオが特徴ですが、この作品にはその要素はもちろん、マフィアや殺し屋など独特の世界観で、見ていて常にハラハラさせてくれます。佐藤浩市や西田敏行の、三谷監督との相性はやはり抜群。登場する町並みはすべてセットで、作られたものであり、エンディングロールでその建設過程が見られます。私はその時初めてセットだと知ったので、かなり驚きました。これも私は見た後に知ったことですが、監督の前作「THE 有頂天ホテル」から香取慎吾が同じ役で特別出演していたり、劇中劇には元ネタがあったりで、一度見た方も見返す価値はあるでしょう。