「裏切り」とは
三本の矢と「裏切り」この長編作品のテーマは、一度ご覧になった方々はお分かりだと思いますが、「裏切り」であります。ご存じの通り、実際の戦国時代でも、父、子、兄、弟、一族、家臣、同盟相手の裏切りは、頻繁にあったことでありますが、「乱」という作品は、繰り広げられる乱世の「裏切り」の恐ろしさ、罪深さ、虚しさ、おぞましさ、情けなさをリアルで、醜く且つ美しく、鮮明で、そして激しく描いています。何故、人は人を裏切ることが出来るのか。どのようにして裏切るのか、一体、後ろめたさはないのか。人間とは一体何者か。「乱」では、それを深く、これでもか、これでもかと突き詰めて行きます。三人の息子元々、冷酷非道なやり方で、敵味方を騙し、戦国の世を渡りきり、領土を拡大していった一文字秀虎は、「裏切り」そのものの完成体と言えます。その「裏切り」では、罪深さ、虚しさ、おぞましさなどが表れています。この人物が、人を裏切るこ...この感想を読む
4.54.5
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