野良犬の評価
野良犬の感想
なかなか
なかなか面白い映画ですかね。とにかく古い映画です。終戦から何年も経っていないのにこんな凄いサスペンスを撮っちゃう事だけでも驚きの作品です。また、当時の人々の暮らしや、街の様子など興味のある方には大変面白いと思います。三船敏郎の演技も若いだけあって荒々しく一直線で大好きな作品です。特に、時代は、実直というものの存在自体、許せないほどに荒廃した世相であり、それだけに、その時代の中で、敢えて、融通が利かないほどに実直であり続ける若き三船の姿は強く印象に残った。初期の黒澤作品ということで録音の状態はDVDになっても未だ良いとはいえませんが、それを差し引いたとしても十分に楽しめるできになっています
刑事ドラマの原点がここにある
三船敏郎演じる若い刑事がスリにピストルを盗まれ、ベテランの刑事(志村喬)と組んで、犯人を追うというのが、ストーリーの骨子。盗まれたピストルを使った殺人事件が次々と起こり、責任を痛感しながらも解決してゆく。戦後間もない東京の闇市・住宅街・野球場などの景色を生かしながら、人々の荒廃した気持ちを描いてゆく手腕がものすごい。三船と志村が少しずつ犯人を追いつめてゆく過程もサスペンスに溢れていて、その後の刑事ドラマの原点がここにあると感じさせてくれます。また音楽を担当する早坂文雄のドラマチックな効果も一級品です。生きる事に貪欲だった時代の、すさまじいエネルギーに溢れた作品です。