全編ブラックユーモア的な喜劇調で山本薩夫監督が描いた政治風刺ドラマ「金環蝕」
この映画「金環蝕」は、東宝配給ですが、当時、再生した大映製作の「わが青春のとき」に続く2作目となる作品で、石川達三の同名小説が原作であり、題名の金環蝕というのは、"まわりは金色の栄光に輝いて見えるが、中の方は真っ黒に腐っている"という意味から来ています。 昭和42年2月の決算委員会で取り上げられた、九頭竜川(映画では福流川)ダム建設落札問題を素材に、それに先立つ自民党(映画では民政党)総裁選挙の資金問題を巡る舞台裏の人間模様を、山本薩夫監督は、全編ブラックユーモア的な喜劇調で描いています。 「白い巨塔」「戦争と人間」「華麗なる一族」と、一連の告発映画に執念を燃やしてきた山本薩夫監督は、長い間、この映画の企画を温め続けてきたといいます。 そして、当時の田中金脈が世間で騒がれていた関心の高まりが、興業的な面からも企画化に踏み切らせたと言えるのかも知れません。政治映画としては、コスタ・ガブラス監督の「Z」...この感想を読む
4.04.0
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